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メジャー最大の謎。
連覇はなぜ難しいのか。
~前年覇者ヤンキースの敗因~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byAP/AFLO

posted2010/11/25 06:00

メジャー最大の謎。連覇はなぜ難しいのか。~前年覇者ヤンキースの敗因~<Number Web> photograph by AP/AFLO

優勝トロフィーを掲げるジャイアンツのリンスカム。Wシリーズ2勝で勝利の立役者となった

 2010年の大リーグは、古豪ジャイアンツが、56年ぶりとなる世界一の座に就いて終わった。開幕前の予想では、前年覇者のヤンキース、フィリーズが優勝候補の最右翼だった。両チームともプレーオフにこそ進出したものの、いずれもリーグ優勝決定戦で敗れ去った。ともに豊富な資金力を背景にスター選手を揃え、総合力で優位と言われていたが、あと一歩及ばず、涙を飲んだ。

 近年、Wシリーズを連覇することは、極めて難しい。ヤンキースが1998年から3連覇を遂げて以降10年間、チャンピオントロフィーは異なるチームに渡ってきた。'04、'07年を制したレッドソックスにしても、連覇はできなかった。

 大リーグには「goodなチームがペナントを制し、hotなチームがポストシーズンを制す」という言葉がある。長丁場の公式戦は、選手層の厚さやバランスの取れたチーム力なくして勝ち抜けない。その一方で、短期決戦のポストシーズンは、シリーズの流れをつかむだけの勢いやテンションが、勝敗の行方を左右することが少なくない。つまり、連覇のカギは、「hot」になれるか否か、と言ってもいい。

欠けていたピースがピタリとはまったジャイアンツ。

 今季のヤンキースやフィリーズは、確かに「good」なチームだった。ただ、ともにスタメンは昨季とほぼ変わっていなかった。ジーター、ポサダらの主力にやや衰えが見え始め、シーズン途中の補強も劇的な効果にはいたらなかった。フィリーズにしても、先発オズワルトを獲得したが、戦力的にはほぼ横ばいだった。現状維持のメンバー、戦略で連覇できるほど、ポストシーズンは甘くない。

 その一方で、ジャイアンツは欠けていたピースがピタリとはまった。リンスカム、ケーンら若い先発陣が順調に成長し、リーグ優勝決定戦MVPのロス、バレルら他球団を途中解雇された選手が再生し、チームを引っ張った。怖いもの知らずの若さとベテランの負けじ魂が核融合した結果、チームが「hot」になった。ひげ面のクローザー、ウィルソンは言った。「うちにヒーローはいない。ただ、必要な時期に必要な選手が加わった。それが強さだ」。若いジャイアンツは、来季も優勝争いに絡んでくるだろう。それでも、現状維持で満足するようであれば、連覇への道はより険しくなる。

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