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日本にとって歓迎すべき、
ソチ五輪に新採用の10種目。
~IOCの目論見と日本のメリット~ 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShino Seki

posted2010/11/23 08:00

日本にとって歓迎すべき、ソチ五輪に新採用の10種目。~IOCの目論見と日本のメリット~<Number Web> photograph by Shino Seki

16歳で数々の優勝経験を持つジャンプ女子の伊藤。五輪までにさらなる成長が期待できる

 先月25日、国際オリンピック委員会(IOC)は2014年のソチ五輪で10個の種目を新たに採用する方針を打ち出した。選ばれたのはフィギュアスケート団体(シングル男女、ペア、アイスダンスで構成)、ジャンプ女子に、男女スキーのハーフパイプとスロープスタイル(ジャンプ台やレールなどが設けられたコースで滑りを競う競技)、男女スノーボードのスロープスタイル。それにバイアスロンの男女混合リレー、リュージュ団体である。

 夏季五輪では種目数の抑制傾向にあるのに、冬季で突如、拡大路線に乗り出すのは、競技日程などが飽和状態の夏季に対し、ゆとりのある冬季五輪はビジネスチャンスがあると考えているからだ。例えば、高値のチケットが常に完売するほど人気の高いフィギュアスケートを1種目増やせば、その分チケット収入などの増加が見込める。スロープスタイルはXゲームを愛好する若者たちに人気が高いため、オリンピックに新たな層の関心を引き寄せることが出来るという目論見だ。

フィギュア団体はもちろん、ジャンプ女子にも有力選手が。

 IOCの意図はさておき、新種目の採用で、日本が歓迎すべき点は少なくない。

 メダルの可能性という点では、長野五輪を最後に代表を送り込めていないペアが課題とはいえ、フィギュアスケート団体が有力なのは自明のことだろう。さらにジャンプ女子も、今夏の国際大会の総合ランキングでベスト10内に3人の選手が名を連ねている。3年前、小学6年で国際大会の表彰台に上がり海外からも注目された伊藤有希(写真)、14歳ながら日本代表で活躍する高梨沙羅、父、兄ともに日本代表で昨年の世界選手権で10位に入った渡瀬あゆみなど楽しみな選手がそろう。

 また、競技の普及という点でも大きい。フィギュアはともかく、これらの種目では競技を続けること自体に苦しんできた選手が多い。「居酒屋でバイトをしながら」「プロバイダーを解約しなければならなくなった」。そんな話も珍しくない。採用は普及や環境整備にプラスになる。

 とはいえ、正式決定は来春のこと。多くの種目が採用されると考えられるが、IOCのロゲ会長は、「今冬の大会次第では、一部の種目は採用しない可能性もある」と注意を促した。オリンピックでの採用を目指し、これらの種目の選手にとって、今季はひときわ熱い冬となる。

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