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優勝リングを賞品にした
アーテストの真意とは。
~NBA優勝選手の仰天行動!~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byNBAE/Getty Images

posted2010/11/18 06:00

優勝リングを賞品にしたアーテストの真意とは。~NBA優勝選手の仰天行動!~<Number Web> photograph by NBAE/Getty Images

ファイナル最終戦では20得点5リバウンドとMVP級の活躍をして、リングをもぎとった

 欲しくて仕方なかったものを獲得した途端に手放すとは、いったい、どういう心理なのだろうか。

 ロン・アーテスト(ロサンゼルス・レイカーズ)が昨季の優勝を記念して貰ったばかりの優勝リングを、チャリティラッフル(宝くじ)の賞品として出すと発表した。ニュースを聞いた人々は耳を疑い、あるいは「やはりヤツはクレイジーだな」と笑い飛ばした。

 何しろ優勝リングといえば、プロ選手にとって何にも代えられない大事な勲章だ。アーテストも長年手に入れたいと思い、目指していた。クレイジーな行動や発言が話題になることが多い選手だとはいえ、にわかに信じがたい話だ。

 しかし、アーテストは本気だった。ラッフルの目的は、カウンセリングの必要性に世間の意識を向けさせること。ラッフルチケットの売り上げは、カウンセリングが必要な子供たちのための基金として寄付するのだという。

ファイナル第7戦直後に明らかにしたある事実。

 彼自身も、13歳の時に両親が離婚して以来、何度もカウンセラーに助けられた。プロ選手になった後も、選手として、あるいは私生活で問題があるたびにカウンセラーに話すことで解決の道を探ってきた。昨季も、優勝のプレッシャーの中、感情をコントロールして力を発揮するため、シーズンを通してカウンセリングを受けていた。NBAファイナル第7戦で優勝を決める活躍をした直後、その事実を明らかにしたばかりだった。

チームメイトが読み解くアーテストの心理。

 それにしても、せっかく勝ち取った優勝リングを手放さなくても他の方法があったのではないだろうか。そんな声に対して、チームメイトのデレック・フィッシャーは、「初めての優勝を追い求めたときのような強い思いを持ち続けるため、そういう状況を作り出したかったのだろう」と、アーテストの心理を読む。だとすれば、これはアーテストなりの心理療法なのかもしれない。実際、優勝直後は弾けるように祝っていたアーテストだが、新シーズンが始まってからは再び追い求める者の表情に戻っている。

 アーテストは言う。

「(リングは)物質的なものにすぎない。でも、優勝したこと自体は、誰も自分から奪えるわけではない」

 これを聞いても、あなたはアーテストがクレイジーだと笑えるだろうか?

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