「オレの希望は最後は健太朗だよ！」

　こうして西村は“首位攻防戦”のベンチ入りを果たし、監督へ直訴してのマウンドというプレッシャーを自ら背負った。結果的に試合は0対4で完封負け。西村にこの日の出番はなかったばかりか、ブルペンに入る展開にもならず、図らずも原監督が当初考えた“休養日”となっている。

「でもね」

　原監督は言う。

「あいつがああ言ってベンチ入りを直訴してきたのも、昨年の悔しさがあったからだと思う。今まではどっちかというと言われたことを“ハイ”って素直に真面目にやり遂げるタイプだったからね。それが自分で強い意思を示したんだから、精神的に成長した証だよ」

　鉄腕・山口に150kmを越える豪速球が武器のスコット・マシソン、そしてシーズンのクローザーを任される西村。巨人の7回以降はこの3人で鉄壁の布陣を誇り、それがリーグ優勝へと歩を進める原動力になっている。

　あとは日本一を目指すときに、西村が最後を任せられる投手になっているのか？

「オレの希望は最後は健太朗だよ！　あいつはそれだけの努力と節制をしてきた」

　原監督は静かにこう語っている。