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人数あわせのトレード要員ではない!
アスレチックスが岩隈を渇望する理由。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2010/11/13 08:01

人数あわせのトレード要員ではない!アスレチックスが岩隈を渇望する理由。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

岩隈は今季10勝9敗と3年連続となる2桁勝利を達成したものの不本意な成績。21勝を挙げ、沢村賞に輝いた2008年のようなピッチングをMLBで取り戻せるか

 ジャイアンツが56年ぶりにワールドシリーズを制覇し、2010年シーズンが終演した。

 念願の初優勝を狙ったレンジャーズだったが、前回取り上げた大黒柱クリフ・リーがまさかのシリーズ2連敗だったのだから、負けるべくして負けたと言わざるを得ないだろう。ただリーグ7位のチーム打率のジャイアンツ打線が、リーグ1位のレンジャーズを上回る爆発力をみせたという“Xファクター”が存在したのも事実だ。それも短期決戦の難しさではあり、面白さでもある。

 ということで、ストーブリーグがスタートした。今年はFA市場が例年より短く、ワールドシリーズ終了6日後に解禁されたこともあり、11月7日以降から水面下で獲得競争が繰り広げられている。

岩隈との交渉権獲得のアスレチックスは異例の沈黙。

 そんな中、2006年の松坂大輔、岩村明憲、井川慶の3選手以来となるポスティング制度を使ってメジャー移籍を目指している岩隈久志投手との30日間の独占交渉権を、アスレチックスが獲得したことが発表された。

 元々アスレチックスは、そのチームの基本方針が有望若手選手を育成であり、FA市場でもキャリア晩年のフランク・トーマス、マイク・ピアザなど比較的廉価な選手たちを獲得する程度で、ストーブリーグでは常に静かな存在であり続けた。

 それが選手の年俸ばかりか、獲得後は前所属チームに入札額まで支払わなければならないなど支出が多いポスティング制度に参加したということ自体、ある意味驚きの行動だと言える。だがメジャー球界でも辣腕GMとして知られるビリー・ビーン氏だけに、したたかな戦略があってのことには違いないだろう。

 そのアスレチックスは異質な行動に出ている。MLB機構から独占交渉権の獲得が発表されたと同時に、交渉が終了するまで一切岩隈に関してはコメントしないと声明を発表したのだ。

 松坂の時などは独占交渉権を得たレッドソックスからすぐさま入札額などが発表されていたが、今回はほとんどの情報が球団サイドから漏れてきていない。アスレチックスの地元紙でさえ、日本メディアの話として入札額1500万ドル前後と報じているくらいだ。だが情報不足の中でも、アスレチックスのチーム状態を考察すれば岩隈獲得を狙う“理由”が浮き彫りになってくる。

【次ページ】 勝ち星が計算できる右腕投手が必須のチーム事情。

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