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U-19敗退で覚醒するか、
宇佐美貴史の稀有な才能。
~U-20W杯連続不出場の中の光明~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byShinji Akagi

posted2010/11/15 06:00

U-19敗退で覚醒するか、宇佐美貴史の稀有な才能。~U-20W杯連続不出場の中の光明~<Number Web> photograph by Shinji Akagi

 ザッケローニ率いる新生・日本代表の船出の陰で、U-19代表がアジアU-19において、2大会連続でU-20ワールドカップ出場を逃した。痛恨事には間違いないが、そんななか、わずかな光明となったのが、宇佐美貴史の存在ではなかっただろうか。

 まず、宇佐美が示したのは、優れたストライカーとしての可能性である。

 ゴールへ向かう姿勢、ゴール前での落ち着き、シュート技術と、どれを取っても頭抜けていた。「J1でやってるのが生きてる。(相手の)プレースピードが遅く感じますね」という発言も、決して不遜には聞こえなかった。

 また、視野の広さにも驚かされた。

 周囲の選手がボールを持ったときに、宇佐美ばかりを見てしまい、他のフリーの選手を見逃してしまう。そんな状況が気になって、当の宇佐美に話をぶつけてみたときのことだ。

「右サイドがフリーやのに、オレが左にいてファーっと動いたら、パスが来る」

 逆サイドの状況も把握していた宇佐美は、すでにそうした問題点に気づいていたのである。ただし、宇佐美はこう続けることも忘れなかった。

「だけど、それは緩急をつけた、いい動き出しができてるからだと思います」

いまわしい敗戦を経て帰国後、J1でスーパーゴールを連発。

 宇佐美に一貫していたのは、あふれんばかりの自信だ。準決勝韓国戦を前にしても、それは変わらなかった。

「(相手のマークは)関係ないでしょ。マークされて止められてるようじゃアカンし。普通にやれば、負ける要素はない」

 結果が出た今となっては、ビッグマウスと揶揄されても仕方がない。

 だが、宇佐美はそれ相応のプレーを見せていた。恐らく彼は、チームの誰よりも自信を持って韓国戦に臨んだ。だからこそ、誰よりも負けたことを悔しがった。泣き崩れ、チームメイトの支えがなければ、歩くことさえままならないほどに。

 いまわしい経験を経て帰国後、宇佐美はJ1でスーパーゴールを連発している。

 中3にして高校生相手にふてぶてしくプレーしていたころを思うと、トップ昇格してからの宇佐美には、正直、どこか物足りなさを感じることがあった。

 しかし、今回の敗戦をきっかけに、稀有な才能が何かに目覚めたのだとしたら。

 せめてもの救いである。

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