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日本シリーズ出場の立役者。
成瀬善久を変えた「鍛錬」。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2010/10/30 08:00

入団2年目、2005年の日本シリーズは登板機会なし。今回はエースに相応しい働きが出来るか

入団2年目、2005年の日本シリーズは登板機会なし。今回はエースに相応しい働きが出来るか

「成瀬はウチのエース。大したものですよ」

 5年ぶりの日本シリーズ出場を決めたロッテの西村徳文監督が、手放しで褒めた成瀬善久。クライマックスシリーズで2試合続けて中4日で登板。ソフトバンクとのファイナルステージでは2勝を挙げ、日本シリーズ出場の原動力となったロッテの若きエースである。

 成瀬に2勝を許したソフトバンクの川根康久スコアラーは、初戦と最終戦の捕手の違いが敗因、と分析した。

「初戦の的場は色々な球種を使って、丁寧にコーナーを突いてリードするタイプ。最終戦の里崎は強気にドンドン攻めさせるタイプ。前回登板のデータを活かせなかった」と悔しがった。痒い所に手が届く母親的な的場直樹のリードと、さあ、ドンドン来い、という父親的な強気のリードをする里崎智也。この2人の巧みな配球が、ソフトバンク打線に的を絞らせなかった。

最後の最後に活きた春季キャンプでの投げ込み。

「シーズン終盤、負けられない試合が続き、忘れていた力を抜いてリズム良く投げるピッチングをようやく思い出した。気持ちを楽にして構えることで、テイクバックが楽にできるようになった」

 成瀬自身はピッチングの変化についてこう語っている。力んで長打を打たれた夏場。この悪循環の中で自分はどういうタイプの投手なのか、見つめ直したという。そして春のキャンプでの2000球の投げ込みが、中4日でも投げられる後半戦のスタミナに繋がったと振り返った。

「今までは投げ込んで調整するタイプではなかったが、西本(聖)コーチのやり方に従ってみようと思った。自分が変われる時だと思ったから」

 春先からの鍛錬が最後の最後に活きたのである。

 短期決戦ではひとりの絶対的な存在がガラリと展開を変える。日本シリーズ出場の立役者になった成瀬を、西村監督はこう評した。

「(10月14日の)ソフトバンク戦の8回、本人から続投すると言ってくれた。あのひと言で全て任せようと思った。やっぱりエースですよ」

 監督の期待に成瀬は「日本一の欲が出てきました」と言う。

 日本シリーズでの中4日の登板が楽しみになってきた。

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