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ディープインパクト産駒が魅せる輝き~ユニオンオーナーズクラブ所属バーバラ~ 

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posted2013/07/25 15:00

ディープインパクト産駒が魅せる輝き~ユニオンオーナーズクラブ所属バーバラ~<Number Web>

調教中の肺出血でオルフェーヴルが出走を回避し、ゴールドシップ、ジェンティルドンナ、フェノーメノの3強対決になった今年の宝塚記念。嵐の余波は戦前の予想を覆し、
3強以外の馬が馬券に絡む波乱の結果になりました。

宝塚記念といえば、第47回のディープインパクトが圧勝したレースを今も思い出します。
本当に強い馬だけに許された単勝オッズは1.1倍。
「ただ勝つだけはなく、より強い勝ち方で!」
海外遠征前に弾みをつける最高のデモンストレーションを要求していたファンの前を、最後は4馬身差の圧勝劇。
武豊騎手がゴール板の手前で拳を握り締める余裕の勝利で応えてくれました。

現役最強馬の名をほしいままにしたディープインパクトは、その後のレースも勝ち続け、慣れ親しんだ『最強』という言葉を有馬記念のターフに刻みつけて引退。
スタッドインした後も「新しい日本の父」として当然のことのようにリーディングサイアーになり、今も競馬界に大きな影響を与え続けています。
ジェンティルドンナやディープブリランテなど数々の名馬を世に送りだしている中、今、注目されているのはユニオンオーナーズクラブ所属のバーバラです。

バーバラという名前は英国のクラシカルな女性を連想させ、どこからか優雅な風が薫るようです。
けれど、彼女の競走馬としてのスタートは決して順風満帆なものではありませんでした。
同世代の馬たちが次々と牧場からトレセンに巣立って行く時期になっても、遅生まれで線が細く、ひ弱なバーバラは育成にも時間を要しました。
その後トレセンに入厩しても、当初は追い切りで他の馬についていくこともできなかったのです。

ようやく調子を上げてデビュー戦に臨むも4着。鞍上は奇しくも父ディープインパクトの背中を誰よりも知っている武豊騎手でした。

このレースでバーバラは、ただ負けてしまったわけではありません。
「馬は記憶する生きもの」だからこそ、大切なデビュー戦で日本一の騎手にめぐり会えたのは最高の幸運といえます。
武騎手はバーバラに、父と同じ「ターフでの飛び方」を教えてくれたことでしょう。
その後の未勝利戦を再び騎乗した武騎手で勝ち、バーバラは自分の身体に宿る大きな力を体感してゆきました。

2004年から2006年にかけて活躍したディープインパクトが競馬界に衝撃をあたえた記憶は今も色褪せることなく、
種牡馬として次世代の産駒たちに強さの恵みをもたらしてくれています。
バーバラの母父であるディキシーランドバンドも、母系の基礎となる米リーディングブルードメアサイアーであることから、さらに頼もしい折り紙つきです。

「英雄といわれた父」。バーバラにとってこれほど誇らしく、これ以上の父は他にはありません。
小柄な馬体と走るたびに熱くなるテンションは父譲りのもの。史上6頭目の無敗の2冠馬が誕生した日本ダービーのパドックと同じように、
バーバラも「走りたい気持ち」が溢れてくる情熱的な競走馬に成長しました。

第3戦は10月8日。京都7R 混合・500万下 芝1200m。
武騎手に続き、3戦目からは福永祐一騎手の騎乗です。
互角のスタートを切り、軽やかに好位へ。勝負所でも手応え良く、4角で先団を射程圏内に入れて外に持ち出し直線を向くと、
早々に先頭に立ち、最後は後続を突き離す快勝。前々で積極的に競馬をするスタイルを守りながらの2連勝。走り終えたばかりの足もとからこみあげてくる「続けて勝つことの意味」をバーバラは知ることになりました。

福永騎手は「言うことないですね。スピードが勝っている馬なのでハナに行くかと思いましたが、馬なりで良い位置につけることができました。追ってからもしっかり伸びてくれましたし、まだまだ余裕がありましたよ。
良い競馬でした。こういうレースができればクラスが上がっても問題ないでしょう。まだまだ奥がありそうですね」と、バーバラの勝利を今後の期待とともに讃えています。
その後のレースも2連勝。4つ並んだ着順「1」に、バーバラは自信をつけてゆきました。

6月30日。中京CBC賞(G3)芝1200mでは、1枠1番特有の窮屈な展開を強いられ、直線を向いてから抜け出すも、最後は自力で勝る重賞馬らに抜き去られて5着。持ち味の末脚は不発に終わってしまいましたが、現在は夏のスプリントレースに向けて調整中とのこと。
競走馬にしてはとても遅い6月生まれのバーバラにとって、季節の移り変わりも他馬よりゆっくりと流れて行きます。
高く澄み切った青空の下、トップジョッキーに手ほどきを受けた若駒時代をふんわりと思い出しながら、バーバラは4度目の「熱い夏」を迎えました。

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プロフィール
上坂由香(エッセイスト)

札幌市生まれ
初めて買った馬券が的中し(ウオッカの日本ダービーで馬単)ビギナーズラックが実在すると身をもって証明。
38歳から乗馬もはじめ馬産地や牧場・乗馬クラブを訪ねては馬と戯れ馬に乗る。
「夜間放牧」と称して飲み歩き知らないおじさんと競馬の話をするのが好き。

第6回Gallopエッセイ大賞受賞
週刊Gallop「競馬の流儀」リレーコラムを連載中
道新オントナWebコラム連載中

JBIS-Searchと競馬ふるさと案内所とのコラボ企画、競馬女子部として活動中
競馬女子部ブログ→http://girls.jbis.or.jp/

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