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頭差で2着の大健闘。
凱旋門賞2010年の挑戦。
~競馬学校同期の二人は今も熱く~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

photograph byAFLO

posted2010/10/17 08:00

1999年にエルコンドルパサー騎乗で凱旋門賞2着となった蛯名騎手。自身の記録に並ぶ快挙

1999年にエルコンドルパサー騎乗で凱旋門賞2着となった蛯名騎手。自身の記録に並ぶ快挙

 欧州最高峰を自他ともに認める凱旋門賞。今年で89回という長い歴史を刻みながら、過去に一度として欧州以外で調教された馬の優勝を許していない事実に、彼らのプライドがずっしりとした重さで伝わってくる。10月の最初の日曜も伝統の開催日。3日のフランス・パリ郊外、ロンシャン競馬場の芝2400mの舞台はあいにく不良のコンディションだったが、日本からの2頭の挑戦(ナカヤマフェスタ牡4歳、ヴィクトワールピサ牡3歳)を含めて19頭の出走馬が揃い、欧州競馬独特の内ラチ沿いにギュウギュウに馬群が詰まった形での激闘が展開された。

 その中から鮮やかに抜け出したのはワークフォース。今年の英国ダービーを7馬身差で圧勝した牡の3歳馬だった。本命不在だったからこその多頭数戦で、どの馬もそれぞれに勝機を感じていたからこそのラフな競馬になったが、ムーア騎手の捌きだけは奇跡的にスムーズに運んだのが勝因の大きなひとつだろう。ゴチャついたフォルスストレート(最後の長い直線の少し前にある勝負所の直線コース)をうまく外に持ち出して難を避け、最後は再びインコースに進路を見つけ出して一気に駆け抜けた。

競馬学校時代から凱旋門賞が憧れだった武豊と蛯名正義。

 惜しみても余りある2着は、ナカヤマフェスタ(美浦・二ノ宮敬宇厩舎)だ。仕掛けどころで前が詰まって蛯名正義騎手が手綱を引かざるを得ないシーンがあり、そのスキに勝ち馬が2、3馬身は差を詰めてきていたことを思えば、最後が僅かに頭差だっただけに本当に残念。2着でも十分に快挙ではあるが、深夜のテレビ観戦となった日本のファンはなかなか寝つけなかったに違いない。

 ヴィクトワールピサは、渋滞にすっぽりはまってポジションを悪くしたのが敗因。最後は馬群の外に持ち出して伸びてはいたが、一騎打ちを演じる2頭とはあまりにも離れ過ぎていた。7着に甘んじた武豊騎手は、後ろから蛯名騎手の奮闘を見ていて「勝て、勝ってくれ!」と願ったそうだが、結果は無情だった。

 競馬学校同期生の武と蛯名。自由時間に海外のビッグレースのビデオ観賞を希望してくるのは決まってこの二人で、少年時代から凱旋門賞が憧れだったという。二人とも40歳を超えたが、欧州にニッポンの名を刻む心意気は熱いままだ。

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