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トレードに揺れるカメロに
浴びせられたブーイング。
~移籍問題に揺れるNBAファン心理~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byNBAE/Getty Images

posted2010/10/15 06:00

トレードに揺れるカメロに浴びせられたブーイング。~移籍問題に揺れるNBAファン心理~<Number Web> photograph by NBAE/Getty Images

 喝采とブーイングの距離は思ったよりも近い。この秋、カメロ・アンソニー(デンバー・ナゲッツ)はそのことを痛感しているのではないだろうか。

 9月末、チームメイトたちと共に、地元で行なわれた総合格闘技の試合を見に行ったときのことだ。会場のスクリーンにアンソニーの姿が映されると、観客の間から大きなブーイングが沸き起こった。今まで地元デンバーでは常に喝采で迎えられていたスーパースターにとって、これは堪えた。「生まれて初めてブーイングされた」と周りにこぼしたらしい。

 地元でのブーイングは自分を応援してくれるはずの人たちの不満の声。不甲斐ないプレーをしたとき、裏切られたと思ったとき、ファンは地元選手にもブーイングを浴びせる。今回は、アンソニーがナゲッツの契約延長オファーを受けず、来夏にはチームを出る気配を見せたことが始まりだった。公にはチーム離脱予告も、トレード要求もしていないが、今夏、同期のスーパースター、レブロン・ジェイムスがキャブスを去った騒動の後だけに、ファンは選手の心移りに敏感だ。

アンソニーとナゲッツ、別離の道は避けられないのか。

 実際、キャンプイン直前には4チーム間でのトレード話が成立しかけた。成立すればアンソニーはニュージャージー・ネッツに行くはずだった。しかし、ナゲッツが二の足を踏んだことでトレード案は流れた。そしてナゲッツにとってもアンソニーにとっても、そしてデンバーのファンにとっても居心地の悪いキャンプインとなった。

 ブーイングに変わったファンの心を取り戻すにはどうしたらいいのだろうか? ナゲッツのヘッドコーチ、ジョージ・カールは「契約延長にサインすればいい」とアドバイスした。

 あるいは、ナゲッツと袂を分かち、新しく喝采を送ってくれる街を見つけるのも一つの道だ。そうすればデンバーは彼にとって“敵地”となり、ブーイングは敵の“賞賛”と同意語になる。

「決断は自分と家族のために下す。チームの成績に関係なく(FAになる)選択肢は残しておきたい」との言葉を聞くと、遅かれ早かれ、別離の道を進むことは避けられないように思える。

 ナゲッツの開幕戦は10月27日。地元ファンから再びブーイングを受けたとき、彼はいったい何を思うのだろうか。

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