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200億円の男、ベイルが残留濃厚。
トッテナム、悲願のCLへ視界良好。  

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2013/07/18 10:30

200億円の男、ベイルが残留濃厚。トッテナム、悲願のCLへ視界良好。 <Number Web> photograph by Getty Images

昨季リーグ戦33試合出場、21ゴールのチーム得点王となり、トッテナムはベイルのワンマン・チームとまで言われた。

 プレミアリーグのクラブでは、すっかり毎年恒例の新ユニフォーム発表。だが、トッテナムが7月8日に行った2013-14シーズン・モデルの発表は、異例の注目を浴びた。理由は、ギャレス・ベイルの新ユニフォーム姿。国内メディアは、レアル・マドリーが触手を伸ばしている看板選手について「トッテナム残留を示唆」と一斉に報じた。

 ベイルの宣伝起用に、スポンサーの意向があったことは想像に難くない。昨季のプレミア年間最優秀選手は、「ワンマンチーム」と言われるほどにトッテナムにとって最大の広告塔だ。しかしその分、今夏に移籍という結末を迎えれば、クラブとスポンサーにとっては、PR上の大失策となる。

 ベイルは、宣伝ポスターだけではなく、報道陣を集めた発表会に起用された。他にモデルとして駆り出されたのは、ブラッド・フリーデル、ジャーメイン・デフォー、マイケル・ドーソンの3選手。顔ぶれからしても、メディアの興味がベイルに集中することは目に見えていたはずだ。

200億円までつり上げられた移籍金。

 ファンの間でも、背中に『BALE 11』と書かれたユニフォームが一番人気になることは間違いない。そのベイルがチームを去れば、返金要求さえ現実的に起こりうる。プレミアには、2年前のエバートンが、移籍市場最終日にミケル・アルテタをアーセナルに引き抜かれ、『ARTETA 10』のユニフォーム購入者に返金を行った例もある。敏腕経営者として知られるトッテナムのダニエル・リービー会長にすれば、自身のイメージとクラブ財政の両面で避けたいシナリオだ。だからこそ、逆に今回の宣伝起用は、ベイル引留めへの自信の現れと受け取れる。

 トッテナム経営陣は、商談に応じる意思がないことを繰り返し発言してきた。買い手を遠ざけるために高く設定された移籍金要求額は、当初の約128億円から、更に商談が非現実的となる200億円近くまでつり上げられたとされる。現役時代にもトッテナムに所属し、現在はチームスタッフ入りしているティム・シャーウッドは、ベイルの残留を「100万パーセント確信している」とまで言っている。当のベイルはまだ身の振り方を明かしていないが、クラブが新契約提示で残留を請う前に自ら残留の意思を公言し、みすみす年俸大幅増の機会を逃す手はない。ユニフォーム発表の場で、「是が非でもトップ4入りを」と語る表情は、CL出場権獲得への決意は感じさせても、CLのない来季への失望は感じさせなかった。

【次ページ】 メッシとロナウドに次ぐ世界ナンバー3。

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