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サッカー界の“サグラダ・ファミリア”、
問題児カッサーノがパルマで再出発。 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2013/07/16 10:30

サッカー界の“サグラダ・ファミリア”、問題児カッサーノがパルマで再出発。<Number Web> photograph by AFLO

「ここが最後の場所になることを願っている」と意気込むカッサーノ。

「俺が持ってた実力のうち、上手く使いこなせたのは、せいぜい3、4割ってところだろ」

“未完の天才”カッサーノと、彼が少年時代に憧れたインテルとの蜜月は、わずか1年で終わった。誰もが羨むほどの才能にあふれながら、カッサーノはそれに見合うタイトル歴を持ち合わせていない。

 チームが低迷した昨季終盤にトラブルメーカーの本性が顔を出し、当時の指揮官ストラマッチョーニと正面衝突。チームの若返りを進めるフロントによって今季の構想外とされたカッサーノは、若手FWベルフォディルとのトレード要員として、キャリア7チーム目となるパルマへ放出された。

 問題児カッサーノは今から18年前、パルマのユニフォームをすでに着ているはずだった。当時13歳だったカッサーノは、強豪の育成組織入団テストに見事合格。しかし、母親が故郷であるバーリを離れることに難色を示し、パルマ入りは実現しなかった。

 18年前の夏、UEFA杯を制しクラブ史における絶頂期を迎えていた当時のパルマが、本拠地タルディーニに華々しく迎えたのは、前年のバロンドール受賞者ストイチコフと若き日のF・カンナバーロだった。当時のパルマにはゾラやD・バッジョら錚々たるメンバーが集い、イタリア列強の一つとして、欧州カップ戦常連の位置を占めていた。

 今のパルマに、スクデットを虎視眈々と狙った強豪の面影はない。ただし、昨季10位に終わった中堅クラブにも、今季はどうしても後世に残るような結果を出したい理由がある。

 今月27日、パルマは1913年創設の前身ヴェルディFCから数えて、クラブ発足100周年を迎える。記念のシーズンに、'06-'07シーズン以来途絶えている欧州カップ戦出場権獲得を成就させるため、ギラルディ会長が熱望した切り札が、天才カッサーノなのだ。

入団発表では、必ず前クラブをこき下ろしてきたカッサーノ。

 ストイチコフのときと同様本拠地タルディーニで行われたお披露目には、約3000人のサポーターが集まった。99番のユニフォームを手に気分上々のカッサーノは、過去の入団発表でつねにそうしてきたように、前所属クラブをこき下ろした。

「インテルのチームメイトたちは、俺がいなくなることを悲しんでくれたけど、ストラマッチョーニ(前監督)に言うことは何もないな。(新監督)マッツァーリときたら、俺にスタメン待遇を約束してくれてたのに、いざインテルの監督になった途端、俺を追い出した。あの人だけには『ありがとう』って言いたくねえよ」

 マッツァーリは、サンプドリア監督時代に悪童カッサーノを一度は更生させた名将だけに、“スタメン確約”と“追い出した”発言に仰天。自らインテルHPを通して「彼とは昨年以来会っていないし、私は実際に指導する前に起用法を約束したりはしない」と即座に否定したため、カッサーノの虚言が判明した。

【次ページ】 クラブを変えるたびに更生を誓うのだが……。

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