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メジャーへの道が見えた
和田毅、2年目の達観。
~左肘手術からの復帰は焦らずに~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2013/07/16 06:00

メジャーへの道が見えた和田毅、2年目の達観。~左肘手術からの復帰は焦らずに~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 まだ見ぬメジャーのマウンドに向かって、少しずつでも着実に前に進んでいる感覚が、オリオールズ和田毅の表情に滲んだ。6月29日、3Aノーフォークで7回途中まで2失点と好投した試合は、和田にとって、決して小さくないステップだった。尻上がりに調子を上げ、最後は右打者の内角へ142kmの速球を投げて見逃し三振。打者がバットをピクリとも動かせない、完璧な1球だった。

「久しぶりに思った通りの球でした。まだまだ直す部分はあるんでしょうが、上(メジャー)に行こうが、下にいるにしても、それは永遠のテーマ。ベストのボールを投げられるようにするのが僕の仕事ですから」

 渡米1年目の昨年、春季キャンプ中に左肘に異常が見つかり、5月11日に「トミー・ジョン」と言われる腱移植手術を受けた。満を持して挑んだはずの異国の地で、デビュー前にメスを入れ、フロリダ州サラソタのキャンプ施設での過酷なリハビリがスタートした。

3Aで松坂との対決は流れたが「ここで投げ合っても意味がない」。

 マウンドに立つどころか、ボールさえも握れない日々。当初は、メジャーの試合をテレビで見ることさえ苦痛だった。だが、前向きな姿勢は変わらなかった。

「まだ投げていない自分のチームの試合を見るのが、つらい部分でした。でも、来年のことを考えたら見ておかないといけないと思いました」

 復帰イヤーに備え、昨年オフは12月末に日本を離れ、米国で年を越した。キャッチボール開始後は、体のバランスを考えて右でも投げるなど、単調な練習に工夫を凝らした。春季キャンプ中にはブルペン投球を再開し、4月には実戦で登板。痛みもなく、順調に復帰への道を歩んできた。もっとも、急仕上げで結果を残せるほど、メジャーの世界が甘くないことは分かっている。同じ手術経験者で、リハビリ中に何度となく助言された同じ歳のインディアンス松坂と3Aで投げ合う機会が流れた際も、意に介することはなかった。

「メジャーの試合で投げ合うのが理想ですから。ここで投げ合っても意味がないでしょう。僕らの世代が、まだまだ頑張っていかないとね」

 メジャーのマウンドが近づいても、和田の表情には気負いがなく、穏やかなままだった。

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