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緩急自在に三振を量産、
桐光学園・松井に死角なし。
~超高校級左腕のさらなる成長~ 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2013/07/12 06:00

緩急自在に三振を量産、桐光学園・松井に死角なし。~超高校級左腕のさらなる成長~<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今夏の練習試合では浦和学院、報徳学園を相手に毎回奪三振&無失点。仕上がりは完璧だ。

 夏の甲子園大会49代表校を予想する高校野球専門誌の表紙を飾っているのは、例外なく松井裕樹(桐光学園)だ。この超高校級左腕は昨夏の甲子園大会において奪三振記録を次々に塗り替え、大阪桐蔭の春・夏連覇以上のインパクトで、その名を全国に轟かせた。

 今年度の成績を振り返ると、準優勝した春季神奈川大会では5試合に登板し、32回を投げ、被安打16、奪三振58、自責点2、防御率0.56と安定感十分。持ち味の奪三振率は16.3と圧倒的だ。

 神奈川2位校として出場した関東大会は初戦の花咲徳栄戦だけに登板し、延長12回を投げ、被安打6、奪三振18を記録。4対3で強豪校を退けている。

 筆者は神奈川大会準々決勝の横浜隼人戦と関東大会初戦の花咲徳栄戦を観戦した。昨年夏の甲子園大会より馬力が増した印象で、ストレートの最高球速は横浜隼人戦が147km、花咲徳栄戦が145kmを記録し、横浜隼人戦の147kmは自己最速タイだった。

直球の球速アップとチェンジアップが、投球の幅をさらに広げた。

 松井の最大の持ち味は縦・横2種類のスライダーと、縦に大きく割れるカーブである。その特徴を記す前にスピードアップを取り上げるのは、ストレートあってこそ変化球が活きるという“緩急の原則”を強調したかったからだ。

 松井の縦に割れるカーブ、スライダーは「超高校級」というカテゴリーの中に収まりきらない。早い話、高校生ではバットに当てることさえ至難の業である。

 昨年夏の選手権1回戦、今治西戦では大会記録の22奪三振を記録しているが、そのうち縦割れの変化球で奪った三振は15個あり、そのうちの10個は空振りだった。さらに、昨年まで投げていなかったチェンジアップがここに加わる。

 関東大会の花咲徳栄戦では18奪三振のうち変化球を勝負球にしたのが11個あり、そのうち6個はチェンジアップだった。大きな変化のカーブ、スライダーに対して、変化が逆方向で曲がりが小さいチェンジアップはストレートとのコンビネーションで威力は倍増する。ストレートの球速アップがいかに松井にとって追い風になるか、あえて言うまでもないだろう。

 神奈川大会を順調に勝ち進めば、準々決勝で対戦するのは強豪・横浜。全国のファン、球児が注目する中で、松井の奪三振ショーが見られるかもしれない。

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