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一番の武器はその驚異的な適応力!?
二刀流論議を超える器の大谷翔平。 

text by

阿部珠樹

阿部珠樹Tamaki Abe

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photograph byKyodo News

posted2013/07/10 10:30

一番の武器はその驚異的な適応力!?二刀流論議を超える器の大谷翔平。<Number Web> photograph by Kyodo News

大谷の登板は5/23から計5回(7月9日現在)。6月18日の広島戦では「投手・5番」で先発出場。先発投手がクリーンナップを打つのは50年ぶりだった。

 6月26日と7月4日、「投手大谷翔平」をつづけて見た。

 大谷に対しては、いろんな人が意見を語っている。野村克也さんや張本勲さんのように投手一本で行くべきという人、落合博満さんみたいに二刀流も面白いんじゃないかという人、もちろん打者がいいという人もいる。ネット上にもさまざまな意見があふれ、百家争鳴といった具合だ。

 国民的関心事だから、当方も意見めいたことをいうぐらいは許されるだろう。投手大谷を生で見るまでは、打者に専念して欲しいと思っていた。投手がダメというのではないが、それ以上に打者に魅力を感じたからだ。

 映像で見ただけだが、バットの扱い方のうまさは松井秀喜の1年目より上ではないだろうか。甲子園のタイガース戦で二塁打を2本打ったが、大半の打者ならどちらもシングルで終わるような打球だった。西武ドームでファウルフライをひょいとグラブに納めたプレーもあざやかだった。3割打って足も守備力もある。それに対して150km台を連発しながらかならず失点する投手大谷は、将来はともかく、現状ではどうなのか。

 野村克也さんの本を読んでいたら、「将来性ほどあてにならないものはない」と書いてあった。プロに入るほどの選手は最初から能力が現れる。見えない将来性などに期待するのは意味がないというのだ。ノムさんの金言を信じるなら、素直に現状を見て打者大谷になったほうがいいのではないか。そう考えていた。

短期間で成長を遂げた“投手大谷”の高い対応能力。

 しかし、投手大谷を見たら、考えが変わった。投手を捨てるのは惜しい。

 見た2試合はともにホークスが相手だった。強力打線で、特に、中軸の内川聖一、松田宣浩、長谷川勇也のクリーンアップは交流戦の後半からグッと調子を上げてきている。

 そのホークス相手に、「大谷は、目を見張るような投球を見せた」わけではない。点は取られた。6月26日の試合は内川、長谷川にソロ本塁打を打たれ、松田にも同点打を許して3失点。7月4日の試合は5回まで無失点に抑えたが、6回、二死から1点を取られ、走者を残して交代。勝ちはついたが文句なしの好投とはいえなかった。

 それでも投手大谷がいいなあと思ったのは、150km台後半の速球を連発したからではない。

 驚いたのは課題を乗り越えるスピードだ。それまでの3試合の登板は、球速は話題になったが、四球も目立ったし、変化球は申し訳程度であまり注目されなかった。

 ところが、この2試合は、ストレートの速さこそびっくりするほどのものではなかったが(それでもふつうに150kmは超えるのだが)、大きなカーブのよさが目立った。ストレートに少し力がなくても、コントロールが乱れても、カーブでストライクが取れる。力で押すだけではないのだということを見せた。

【次ページ】 ホークスの強力打線相手に新球種を試す大胆不敵さ。

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