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10代が躍進する体操女子。
新エース候補は笹田夏実。
~母と一緒にリオ五輪を目指して~ 

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

PROFILE

photograph byAFLO

posted2013/07/09 06:00

才能を見事開花させた笹田は、同じく10代の寺本、村上茉愛とともに体操女子を牽引する。

才能を見事開花させた笹田は、同じく10代の寺本、村上茉愛とともに体操女子を牽引する。

 リオデジャネイロ五輪に向けて急速な世代交代が進んでいる体操女子に、また新たなエース候補が現れた。

 5月の全日本選手権女子個人総合で初優勝した笹田夏実は、17歳の高校3年生。6月のNHK杯では、優勝こそロンドン五輪代表の寺本明日香に譲ったものの僅差で2位になり、安定した力をつけてきたことを示した。

 同い年の寺本とともに“10代パワー”を見せつけている笹田の持ち味は、平均台や段違い平行棒で見せる高難度の技と、名前通り真夏の果実を連想させるような、パッと明るい表現力だ。

 コーチである母は、幻のモスクワ五輪代表として知られる加納(現姓笹田)弥生さん。小学校のころから母の指導を受けてきた笹田は、ジュニア時代は同世代で最前線を行く存在だった。

 中学1年生だった'08年、高校生までが対象の全日本ジュニア選手権で優勝。'10年の全日本個人総合で2位に躍進し、'11年には全日本種目別の段違い平行棒と平均台で優勝した。ところが、母娘の悲願であったロンドン五輪は、最終選考会の最後の最後に崩れてしまい、惜しくも出場はかなわなかった。

NHK杯ではG難度の技に挑戦し、世界を見据えた準備を進める。

 昨年7月に右手首舟状骨修復手術を受けたことで、現在は筋肉や身体バランスを取り戻すために基礎練習に時間を費やすほか、母のアドバイスで表現力を磨くことに意識を割いている。

 ロンドン五輪選考会で見せた精神的な弱さも克服しつつある。先のNHK杯では、平均台の入りでG難度の技に挑戦。結果的には落下したが、「失敗してでも自分らしさを出したかった」と、世界を見据える強い意志も備わってきた。

 現在のDスコア(技の難度を示す得点)は負傷前と比べて4種目合計でまだ2点ほど低い。だからこそ、「基礎固めが終わって、D得点を戻した構成を組めるようになれば(同世代には)負けない。この1年が頑張りどころ」と自信を覗かせる。

 けがを乗り越え、豊かな才能を開花させる準備を整え、満を持して新エースに名乗りを上げた今、口にするのは「そろそろ私たちの時代なのかな」という強気な言葉だ。その先に見据えるのは3年後のリオ五輪。ロンドンで逃した母との悲願を達成するまで、挑戦は続く。

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