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総合武道「空道」で若手を破り、
優勝した44歳・飯村の底力。
~通算6度目の日本一に輝いた猛者~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2013/07/08 06:00

総合武道「空道」で若手を破り、優勝した44歳・飯村の底力。~通算6度目の日本一に輝いた猛者~<Number Web> photograph by Susumu Nagao

 空道をご存じか。顔面プロテクターをつけたうえで頭突きやヒジによる打撃攻撃を認め、投げや寝技もOKという総合武道だ。すでに30年以上の歴史を持ち、今夏には“第2のオリンピック”といわれるワールドゲームズでエキシビションスポーツとして採用された。

 5月19日には競技発祥の地である仙台で年に一度の「全日本体力別(階級別)大会」が行なわれたが、中量級では史上最年長の日本王者が誕生した。44歳の飯村健一(大道塾吉祥寺支部長)である。

「去年秋に行なわれた全日本無差別大会を審判をやりながら観ていたら、なんか不甲斐なくてね。でも、何もしないで『昔の方が強かった』と言うのもどうかと思ったので久しぶりに出てみようかと」

 武道家として活動する傍ら、本場タイのリングにも上がるなどムエタイのスペシャリストとしても知られる飯村のもとには青木真也を始め、数多くのプロが教えを請うためにやってくる。現役の彼らを相手に、40歳を過ぎてもいいスパーリングができることも復帰を後押しした。

「武道家に引退はない。練習しないとビールも美味しくないから」

「よくアスリートは引退して肩の力が抜けたらいい動きができるっていうじゃないですか。武道家としての自分がそういう状態で闘ったらどうなるか。自分の力が練習でしか通用しないものだったら、ホンモノの力とはいえないですからね」

 大会前の不安は試合中のケガのみ。それさえなければ、通算6度目の全日本制覇を確信していた。

「だって経験が違いますから。体力? ブランクがあったらまずいけど、日々鍛練を続けていたので何の問題もなかった」

 案の定、飯村は当たり前のように勝ち進んで当たり前のように優勝した。ピンチといえば準決勝で腕ひしぎ十字固めを極められそうになった場面だけだった。

「試合が終わってから、その時の相手がとんでもない柔道の猛者であることを知りました(笑)。途中で戦法を切り換え、ヒザで勝負したのが良かった」

 今回の優勝を一区切りに競技者としての活動には幕を引こうとしているが、引退したといわれることには抵抗がある。

「武道家に引退はない。僕にとっては日課のようなものなので、練習も再開しています。空道を作ったウチの先生(東孝)も言っているけど、練習をしないとビールも美味しくないですから」

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