イタリア代表キェッリーニも認めた岡崎の獅子奮迅。

　そうした意識改革を踏まえて臨んだはずのバイエルン戦とブラジル戦では、チャンスで決めきれなかった。

　また、ダメなのか。心がなえても不思議ではなかった。

　それでも、イタリア戦では前線で相手を追いまわす守備が効いてPKを獲得したうえ、遠藤のFKに得意のヘディングで合わせて、ゴールネットを揺らした。

　そして、メキシコ戦ではこれまでの失敗を活かし、クロスに近い方の足でしっかりとゴールを決めて見せたのだった。苦しみ、考え抜いた1年も無駄ではなかったことは証明できた。

　イタリア戦の試合後にはセリエA王者のユベントスのDFラインを統率するキエッリーニが岡崎に歩み寄り、ユニフォーム交換を求めてきた。

　メキシコ戦のあとには、香川がこう話した。

「後半なんてみんなバラバラというか……岡ちゃんが1人で頑張っていた」

「チームが勝つためのゴールを決められるようにしたい」

　大会前から、そして大会が始まってからも、報道陣からは何度もこんな質問が投げかけられていた。

「アジア相手のチームではたくさんのゴールを決めてきたけど、世界の強豪相手に決めたゴールは多くないからこそ、コンフェデレーションズカップではゴールを決めたいのではないですか？」

　それに対しては、「自分がどうこういうよりも、チームとしてどう勝つかが大事」とお決まりのように返してきた岡崎も、メキシコ戦後には自らこんなことをもらした。

「個人的には、アジアとかそういう（レベルの高くない）相手にはよく決めているというけど（強豪相手にはそれほど多くのゴールを決めていない）……というのもあったので。ここでちょっと一皮むけたというところを自分自身の中でも持てたというのは、自信にはなります」

　しかし――。

　岡崎は、この後に力を込めて、こう話した。

「もう一皮むけて、次は、チームが勝つためのゴールを決められるようにしたいなと思います」

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