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ボールひとつあれば、そこがフィールドになる。レシーフェのビーチで見かけたボールピープルたち。
photograph by Atsushi Kondo
ボールピープル

“惜敗”の地、レシーフェのホテルで、
イタリア男と日本サッカーを語った朝。

近藤篤 = 文

text by Atsushi Kondo

photograph by Atsushi Kondo

2週間で4種類の異なる気候と戦った日本代表の選手達。

 6、7月のペルナンブコ州はよく雨が降る。

 

 日本の梅雨とは少し異なり、さっきまで晴れていたかと思うと、一気に黒い雨雲が広がって、30分ほど強い雨が降る。僕のホテルの部屋は15階にあって、窓からは大西洋が見えるが、雨雲はだいたい海の向こう、東の方からやってくるようだ。気温は晴れていれば日中で30度くらい、夜になると25度くらいまでは下がるけれど、湿度が高くちょっと動くだけで全身から汗が吹き出る。

 日本代表は、6月4日のオーストラリア戦を埼玉で戦い、その後のイラク戦をドーハで戦い、コンフェデ第1戦のブラジル戦は標高1000mのブラジリアで戦った。2週間で4種類の異なる気候、そして時差、選手たちの肉体はかなり疲弊しているはずだ。果たしてこのレシーフェの地で、彼らの体力は90分もつのだろうか。そこだけが心配だった。

ペルナンブコ州のスタジアムは、絶望的にアクセスが悪かった!

 6月19日水曜日、試合会場周辺では、キックオフまでにすでに何度か強い雨が降っていた。

 会場のアレナ・ペルナンブコは、ブラジリアのナショナルスタジアム同様、来年のW杯のために新築されたスタジアムである。このスタジアムの難点は、とにかくレシーフェの街から遠いことだ。

 車で行くと通常なら40分前後だが、道中何カ所かは、ちょっとした交通事故で絶望的に渋滞してしまう。そしてブラジルでは車同士の衝突やエンストは、周りの誰かがあくびをするのと同じくらいの確率で起こる。電車とバスを乗り継いでゆくにしても、本数はさほど多くないし、車内はかなり混雑している。今後改善されるにしても、現時点では快適という言葉からはほど遠い交通手段である。

 

 ブラジル北東部の街の、それもかなり不便なスタジアムで行なわれるイタリア対日本の試合に、いったいどれほどの観客が集まるのかと思っていたら、この日スタジアムには4万人強もの観客が集まった。

 見渡すと、日本とイタリアからの応援団はごくわずか。あとは地元の人たちが、セレソンのユニフォームを着て、オレはイタリアを応援するとか、オレは日本を応援する、そんなノリでサッカーの試合を楽しみにきている感じだ。イタリア代表のユニフォーム姿の“ペルナンブカーノ(ペルナンブコ州の人)”が多いのは、ただ単にアズーリのユニフォームのほうが手に入りやすいからだろう。

<次ページへ続く>

【次ページ】 オーストラリア人カメラマンが呟く。“Dream is over”

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