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存在感抜群のリベラに
囁かれる引退撤回説。
~ヤンキース守護神に君臨する43歳~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2013/06/21 06:00

昨年までプロ18年間で通算608セーブ、ポストシーズン通算42セーブはともに歴代1位。

昨年までプロ18年間で通算608セーブ、ポストシーズン通算42セーブはともに歴代1位。

 今年限りで本当に引退するのか。このところ、ニューヨークの担当記者の間で、マリアノ・リベラの引退撤回説が、まことしやかに囁かれている。当初はジョーク交じりだったが、5月28日のメッツ戦で逆転サヨナラ負けするまで18試合連続でセーブに成功。宝刀カットボールは健在で、依然としてメジャー最高レベルのクローザーであることを実証してきた。

 もっとも、1年前は危機的な状況に立たされていた。2012年5月3日、ロイヤルズ戦の試合前の練習中、打球を追った際に右足前十字靱帯を断裂。シーズン中の復帰絶望どころか、そのまま引退する可能性も取り沙汰された。だが、歴代最多のセーブ数を積み上げてきた男にとって、故障で引退通告される現実など、受け入れられるものではなかった。

「こんな形で終わらせたくはない。全力でやり遂げたい、そう感じたんだ」

 今季の開幕戦を復帰日に定める一方で、'13年を最終年にすることも決意した。春季キャンプ中には、家族同伴で記者会見を行ない、正式に引退を発表した。

故障明けで約1年間のブランクも圧倒的な“ラストイヤー”。

 故障明けと43歳という年齢からも、一部には最後までクローザーが務められるか、不安視する声もあった。ところが、リベラには約1年間のブランクなど無関係だった。4月4日に今季初セーブを挙げると、その後は「リベラ=ゲームオーバー」と言われた故障前と変わることなく、勝ち試合の最後を締めくくってきた。

 4月14日のオリオールズ戦では3-0とリードして迎えた9回表、先発黒田博樹がマウンドに向かった際、リベラの登場を期待する地元ファンから一瞬ため息が漏れた。完封して勝利の立役者となった黒田が、試合後「僕が投げていいのかと思いましたよ」と苦笑いするほど、その絶大な存在感は変わっていない。

 公式戦だけでなく、ポストシーズンでは141回を投げて防御率0.70。'95年以来、既に5つのチャンピオンリングを手にしても、頂点への思いは強い。

「最後にワールドシリーズで投げて勝ちたい。それが最大の目的だから」

 その願いがかなわないとすれば……。それでも、リベラの野球人生は本当に「ゲームオーバー」になるのか。今季最後の1球を投げ終えるまで、本人にさえ分からないのかもしれない。

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