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自転車女子が公募で
人材を集める本当の理由。
~第2の橋本聖子は現れるのか~ 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byKeisuke Koito/PHOTO KISHIMOTO

posted2010/09/17 06:00

自転車女子が公募で人材を集める本当の理由。~第2の橋本聖子は現れるのか~<Number Web> photograph by Keisuke Koito/PHOTO KISHIMOTO

スピードスケート銀メダリストの田畑も参戦。スケートも続行し、'14年ソチ冬季五輪を目指す

 8月中旬から下旬にかけて、ロンドン五輪へ向けての人材発掘を目的とした自転車女子の合宿が静岡県伊豆市で行なわれた。自転車競技でのこうした試みは初めてのことだ。参加したのは公募に応じ書類選考を通った63名。バンクーバー五輪チームパシュートで銀メダルを獲得した田畑真紀、2度オリンピックに出場した渡辺ゆかりのスピードスケート勢、北京五輪ホッケー日本代表の岡村育子など、多彩な顔ぶれがそろった。

 公募による人材発掘に至った背景には、ロンドン五輪で女子のトラック種目が3種目から5種目へ拡大されることと、五輪出場権獲得のシステムの変更がある。簡単に説明すると、北京五輪までは半ば救済的に、世界選手権に出られない国の選手による「B世界選手権」でも出場権を得ることができた。それが廃止され、男子と同じく各種国際大会の成績に応じて出場権が決まることになったのだ。北京五輪では、日本女子は2名がトラック種目に出場したが、ともにB世界選手権優勝によるものだった。

「私たちとしては全種目に出場したい。しかし新ルールのもとでは、現在の女子の選手層、レベルを考えるとどの種目も出場が危ぶまれるのが現状です」

 日本自転車競技連盟の林富士夫強化部長はこう語る。そこで、幅広い人材を集めようとプロジェクトは始められた。

他競技の一流選手たちの力をどこまでいかせるか。

 合宿では適性を見極めるため、体力やペダルをこぐ速度の測定などを行なった。林氏は成果をこう語る。

「例えば、渡辺さんのデータは自転車専門でやってきた選手とそれほど差がない。これからが楽しみですね」

 腰痛のため途中で合宿を離れた田畑も、連盟の強化指定選手に選ばれており、今月18・19日に長野で行なわれる全日本実業団選手権に出場する予定だ。田畑自身、「本格的にチャレンジして、ロンドン五輪に出場したいです」と抱負を口にし、本気であることをアピールしている。

 自転車では、これまでもスピードスケートの橋本聖子、大菅小百合がオリンピックに出場しているが、人材発掘への切実さはかつてないほどだ。

 他の競技で第一線に立ってきた選手が、その力をどこまでいかせるか。それが自転車の日本女子のロンドン五輪を左右する。

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