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アズーリ凋落で注目の
カテナチオへの反逆者。
~帰ってきた名将ゼーマン~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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posted2010/09/15 06:00

アズーリ凋落で注目のカテナチオへの反逆者。~帰ってきた名将ゼーマン~<Number Web> photograph by AFLO

 この夏、ひとりの名将がカルチョの世界に戻ってきた。

 ズデネク・ゼーマン。63歳の老将は7月、イタリア3部リーグに相当するレガ・プロのフォッジャの監督に就任した。

 8月22日に行なわれたアウェーでの開幕戦でフォッジャはカベーゼに3-0と快勝。その懐かしい名はイタリア中に報じられたのである。

 ゼーマンにとっては古巣への復帰となる。彼はカテナチオ全盛の'80年代にフォッジャを率い、チームをセリエAに昇格させただけでなく、独自の攻撃的サッカーでイタリア国民に衝撃を与えた。

 当時のイタリアでは珍しい4-3-3システムを採用し、取られても取り返すスタイルを追求。それは世の流れに逆行したサッカーで、彼のチームは「奇跡のフォッジャ」と呼ばれていた。イタリアでは攻撃サッカーといえば、今でも真っ先にゼーマンの名が挙がるほどだ。

 開幕戦には3部リーグとは思えないほどのTVカメラや記者が駆けつけており、今季のフォッジャはちょっとしたブームとなっている。

W杯での惨敗を受け、攻撃化を進めるイタリアサッカー。

 いま、ゼーマンの存在がこれほど注目されるのは、イタリアサッカーの攻撃化が叫ばれているからでもある。

 南アフリカワールドカップでイタリア代表が惨敗に終わり、イタリアでは2010年を「Anno Zero(ゼロ年)」として改革が求められている。

 サッキやバッジョらが協会に入り、プランデッリ新監督もカッサーノやバロテッリらタレント溢れる選手を起用するなど、抜本的改革が推し進められている。

 '06年にレッチェの監督を解任され、カルチョのピッチを遠ざかっていたゼーマンがこのタイミングで再び表舞台に復帰したというのは、イタリアサッカーとのどこか深い縁を感じさせてくれる。

「チームが自分たちのサッカーを楽しむことができれば結果は出るのだ」

 その独特の言い回しは今も変わらない。

 ちなみに現在のフォッジャも20年前と同じ、全員が積極的に攻撃する4-3-3を採用し、平均年齢は23歳と実に活きのいいチームだ。

 ゼーマンのフォッジャは、カルチョの国に再び新風を吹き込むことができるのか。攻撃化を進めるイタリアサッカー全体が、この小さなクラブに注目している。

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