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1、2年生の野手に
逸材が目立った夏。
~甲子園に見た筒香世代の影響~ 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2010/09/05 08:00

九州学院の萩原は、鹿児島実戦でPLの清原以来となる1年生4番による本塁打を放った

九州学院の萩原は、鹿児島実戦でPLの清原以来となる1年生4番による本塁打を放った

 初回に先頭打者がヒットを放てば、チームは一気に活気づく。今夏の甲子園大会でそうしたケースは27回あり、その勝敗は17勝10敗。実に勝率.630という高さだった。

 最も多く初回にヒットで出塁したのは、優勝した興南の1番打者・国吉大陸の4回で、続いて東海大相模・渡辺勝、成田・大木涼太、関東一・山下幸輝の各3回(2勝1敗)と続く。いずれもベスト8以上に進んでいるので、今大会の“勝利の法則”であったと言えるだろう。

 この中で国吉とともに目立ったのが準優勝チーム、東海大相模の2年生の核弾頭・渡辺である。準々決勝、準決勝、決勝の終盤3試合で先頭打者ヒットを放ち、九州学院、成田戦では先制のホームを踏んでいる。エースの一二三慎太が脚光を浴びていたが、相手チームからは渡辺の強打と俊足もかなり警戒されていた。

投手は3年生、野手は下級生に逸材が集まった理由。

 この渡辺と同様、今大会は下級生の野手に注目が多く集まった。主な選手の名前を挙げると、2年生では村井昇汰(北大津)、海部大斗(履正社)、丸子達也(広陵)、北川倫太郎(明徳義塾)、浜田晃成(延岡学園)、浜田竜之祐(鹿児島実)。1年生では谷口一平(遊学館)、萩原英之(写真)、溝脇隼人(ともに九州学院)などである。

 投手は有原航平(広陵)、島袋洋奨(興南)といった注目選手のほとんどが3年生なのに、野手は下級生に逸材が集まっていた。なぜだろうか。

 昨年、野手は筒香嘉智(横浜)、今宮健太(明豊)、堂林翔太(中京大中京)など、大豊作だった。これは全国的な傾向であり、その分、下級生だった現在の3年生は出場機会が限られていた。

 これは、投手と違って試合経験がモノをいう野手にとっては不利な状況である。近年の高校野球の監督は、実力が同等ならば、プレーが成熟していない3年生より、来年を見込んで下級生を抜擢しようとする傾向がある。そういう3学年のせめぎ合いが、今夏の甲子園大会には濃厚に見て取れた。

 下級生組の中でも、特に大物感が際立ったのが九州学院の萩原である。準々決勝の東海大相模戦で敗退した後、報道陣に向かって「(一二三慎太は)そこまで凄い投手だとは思いませんでした」と言い放った。あと2年の間で、萩原はどんな成長曲線を描いていくのだろうか。

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