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広島・堂林翔太よ、もっと三振を!
先人に学ぶ、ふてぶてしさの極意。  

text by

中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/06/05 12:50

広島・堂林翔太よ、もっと三振を!先人に学ぶ、ふてぶてしさの極意。 <Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

堂林は「自分の打撃ができていないので……。甘い球を見逃してるし、直球を狙ってもファウルになる。今の状態で試合に出ても結果がいい方向に出ない」とコメント。

「当てにいっても結局、空振りするときは空振りする」

 中村は本来、非常にミートのうまい打者だ。だが、それを捨ててまでホームランにこだわっている。

「3割打ちたくないって言ったら嘘になる。でもそれを求めるとホームランも減るかもしれない。そんなに簡単じゃないんで」

 もちろんその境地にたどり着くまでには紆余曲折があった。中村はプロ4年目の'05年に22本塁打をマークしレギュラーに定着した。しかし、'06年は9本、'07年は7本と2桁にすら乗せることができなかった。

「三振を減らそうと思ったこともある。でも当てにいっても結局、空振りするときは空振りする。どうすればいいんやろ、と。だから自分の中で『三振はいっか』って。だって3割打つバッターは毎年10人ぐらいはいますよね。でも40本打てるバッターは2人いるかいないかでしょう。だったらホームランをたくさん打った方がいいのかな、って」

 堂林に今必要なのはこの割り切りなのではないか。

球団最多三振とはいえ、球界でいえば歴代19位に過ぎない!

 昨シーズン、球団最多三振を記録してしまったとはいえ、歴代で言えばまだ19位だ。上には上がいくらでもいる。そんな諸先輩方の記録を超えてやるというぐらいのふてぶてしさがあってもいい。

 先頃、国民栄誉賞を受賞した長嶋茂雄は現役時代、空振りしたときにヘルメットが落ちるようわざと大きめのヘルメットをかぶり、三振でさえ「ショー」のひとつと考えていたという伝説がある。

 それぐらい開き直ってスイングできるかどうか――。そこに堂林の未来もかかっているような気がする。

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