SCORE CARDBACK NUMBER

ツッパリから優等生へ。
中田翔を変えたもの。
~“可愛がられる存在”に~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byTamon Matsuzono

posted2010/09/03 06:00

ツッパリから優等生へ。中田翔を変えたもの。~“可愛がられる存在”に~<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

'08年、高校生ドラフト1巡目で入団。高校時代は投手として最速151kmを記録したことも

 7月20日、プロ入り3年目にしてロッテの大嶺祐太から初本塁打を記録した中田翔は、その後も好調を維持し、金子千尋、涌井秀章、和田毅、田中将大ら各球団のエース級を攻略。わずか11試合で8本もの本塁打を放った。

 この間、中田の口から出た言葉は謙虚なものばかり。ビッグマウスと言われた入団当初の面影は全く見られない。ルーキーの頃だったなら、「エースと言われても大したことがないですネ」くらいは平気で喋っていたはずだ。また高校時代から由規と共にビッグ3と言われ、ライバル視されていた唐川侑己との対戦でも、「やっぱりすごい」と相手を褒めている。

 今までの悪タレ小僧から、中田が優等生に変身したのには理由がある。初本塁打によって気持ちに余裕ができたのだ。

「年上ばかりの世界に入って、言葉使いも違う。突っ張ることで、どこか自分を守ろうとしているところがあった」

 本人も肩肘を張っていたと振り返る。結果を求めるあまり焦っていたのかもしれない。今季からはチーム内でも積極的に頭を下げ、教えを乞うようになった。

兄貴分ダルビッシュのアドバイスで田中将大を攻略。

 キャプテンの稲葉篤紀も「相手の球種や捕手の性格などを聞いてくる。聞かれると全部教えたくなる」と言うように、今までのツッパリを捨てて、可愛がられる存在になろうとした。そしてプロ入り1号が気持ちの余裕を生み、先輩選手に対しても素直になれたと中田は言う。

 福良淳一コーチもこう語る。

「気持ちに余裕が出てきたから懐まで球を呼び込める。変化球にも対応できるようになった」

 兄貴分のダルビッシュ有が打たれた8月6日の楽天戦では、同点本塁打、そして試合を決める3ランを放ち、ようやく日本ハムの一員としてチームメイトからも認められた。

 田中将大と対戦した8月8日の楽天戦では、ダルビッシュから「真っ直ぐを狙っていけ」とアドバイスされ、その通りに本塁打を打つ。こうなればダルビッシュも嬉しくて仕方がない。ダルビッシュが先発した8月20日の試合でも本塁打を放ち、「遠征先で食事に連れて行ってあげる」という約束まで取りつけた。

「自分が打って勝たないと面白くない」が本音かもしれない。だが今、口をついて出る言葉は「チームの勝ちが一番です」だ。

■関連コラム► “ホームラン・アーチスト”中田翔。劇的に進化した新打法を検証する!
► <甲子園特集> 中田翔を変えた斎藤佑樹の17球。~4打席全対決を振り返る~

関連キーワード
中田翔
北海道日本ハムファイターズ

ページトップ