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2強の低迷とLAの嘆き。
~不振のドジャースとエンジェルス~ 

text by

芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byGetty Images

posted2013/06/02 08:01

2強の低迷とLAの嘆き。~不振のドジャースとエンジェルス~<Number Web> photograph by Getty Images

自軍の冴えない日々に、ドジャースのマッティングリー監督の表情も曇りがち。

チーム打率は悪くないのが、せめてもの救いだが……。

 もうひとりパッとしないのが、隠れた逸材のアンドレ・イーシアだ。

 こちらの数字も、.253/.344/.388と寂しい。新オーナーが大盤振舞をして、長期契約を結んだのが裏目に出たのだろうか。ケンプ同様、気のゆるみが不振を呼んだのかもしれない。

 となると、移籍組のエイドリアン・ゴンザレス(.328/.381/.511)やカール・クロフォード(.293/.352/.453)がどれほど頑張ろうと、チームの上位進出はむずかしい。'12年にマーリンズから移ってきたハンリー・ラミレスに故障が絶えないのも気にかかる。

 チーム打率(2割5分5厘)だけなら、大リーグ全体で14位なのだから、あとは破壊力の復活を願うしかないだろう。

エンジェルスには主戦投手離脱の影響が暗い影を落とす。

 ドジャースに比べると、このところ上り調子のエンジェルスはいくらか希望の持てる状態に見えるかもしれない。

 アルバート・プーホルス、ジョシュ・ハミルトンといった高額所得スターの不振は想定外だったろうが、マイク・トラウトとマーク・トランボのパワーデュオは今季も健在だし、ハウイー・ケンドリックやアルベルト・カラスポといった脇役も、そこそこ渋い活躍をしているからだ。

 ただ、エンジェルスの場合は、主戦投手ジェレッド・ウィーヴァーの戦線離脱が大きすぎる。

 チーム防御率=4.37は大リーグ全体で25位だし、WHIP=1.41の数字も27位というていたらくだ。現在は上げ潮の打線が好調を支えているが、C・J・ウィルソンやジェイソン・ヴァルガスが主体の投手陣では長期間の安定は望めない。

怒髪天を衝く地元ファンからは監督交換案の暴論も。

 と見てくると、シーズンはまだ3分の2を残しているものの、両球団の展望はけっして明るくない。ロサンジェルスの友人に聞いたところ、街では「(エンジェルス監督の)ソーシアとマッティングリーの両監督をトレードしろ」という乱暴な声さえあがっているようだ。

 なるほど、ソーシアは現役時代、ドジャースに13年も在籍した。そんな彼を古巣に呼び戻して采配を振るわせようという発想が出てくるのは、まったくの荒唐無稽というわけではない。ただ、監督のスワップという「暴挙」はあまりにも安直だ。ソーシアにしても、現在のドジャース経営陣は、馴染みのない人物ばかりではないか。

 それならばいっそ、どん底で呻吟するドジャースに駒を張ってみるのはどうだろうか、とつむじ曲がりの私などは考えてしまう。なんといっても、投手陣の潜在能力は圧倒的な魅力だ。カーショー+グリンキー+柳+ベケットが、残り110試合で75勝をあげれば、道はおのずから開けてくる。加えて、ケンプとイーシアが打率を2割8分台に上げ、故障のラミレスが戦線復帰後に20本ほどホームランを打てば、彼らのプレーオフ進出はけっして夢物語で終わらないはずなのだが。

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