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本田“いる・いない”論を越えて――。
福西崇史が語る「最も大事な1カ月」。 

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/05/30 13:10

本田“いる・いない”論を越えて――。福西崇史が語る「最も大事な1カ月」。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

所属チームのカップ戦出場のため、本田圭佑、岡崎慎司、酒井高徳を欠いて日本代表はブルガリア戦を迎える。

7年前、ドイツW杯での苦い経験をどう活かすか。

 7年前のドイツW杯。絶対的なコントロールタワーである中村俊輔の体調不良は、日本代表に少なからずマイナスの影響を及ぼした。

「確かに、あのチームでシュンが果たすべき役割は大きかった。それが体調不良によって崩れてしまったところもあると思う。そういう状況に直面した時にどうするかという問題はあったし、結果的にはその状況でチームとしての意識を統一できなかったことがチーム力の無さだったと言えるかもしれない」

 現代表にとって、ピッチ内外における本田の存在感は絶大だ。時間と選択肢を作る“使う側”としての能力はもちろん、独力で局面を打開する個の力もある。周囲を強引に引き連れながら前進する、モチベーターとしての存在価値も大きい。

 ただ、それは彼の存在だけに当てはまることではない。特にメンバーをほぼ固定して戦ってきたザックジャパンにとっては、誰が欠けても微妙なズレが生じることは間違いない。

 まして相手にとって日本対策は、これまで以上に分かりやすい。マンチェスター・ユナイテッドの香川真司、インテルの長友佑都、シャルケの内田篤人、ニュルンベルクの清武弘嗣といったそれぞれの肩書きは、もはや隠しようのない明確な情報である。

「監督がいなくても機能する」チームを目指せ!

「ブラジルはもちろん、世界の強豪国は、試合の中でそういう状況の変化に対応できる。本田がいても、ヤットがいても、香川がいても、長友がいても、それが相手によって機能しないということはいくらでも起こりえるよね。だから、世界のトップレベルではそれを上回る力がないと勝てない。スカウティングとは違うことだって当然あるし、試合が始まらないと分からない。何が起こってもチームとしての意識を統一して、それに対応する力。大げさに言えば、監督がいなくても機能するチーム。今の代表にはそういう力が求められていると思うし、それができると僕は思う」

 指揮官が言う「最も大事な1カ月」は、今日、5月30日、本田不在のブルガリア戦で幕を開ける。

 不在時に敗北を喫した3試合は、最終的なチーム力を得るためのトレーニングと解釈すればいい。しかしそろそろチームとしての理想的かつ現実的な適応力を発揮できるようにならなければ、1年後に得られる結果も変わってくる。

 1年後の目標はベスト16ではない。今夜行われるブルガリア戦は、単なる親善試合ではない。

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