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華麗なオーバーテイクで、
アロンソ歴代4位の32勝。
~母国GP連覇を支えたドライブ技術~
 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

PROFILE

photograph byHiroshi Kaneko

posted2013/05/23 06:00

ウイニングランで、晴れやかな空の下、母国スペインの国旗を片手に歓喜に浸るアロンソ。

ウイニングランで、晴れやかな空の下、母国スペインの国旗を片手に歓喜に浸るアロンソ。

 バルセロナで行なわれた第5戦スペインGP。予選5位のF・アロンソが逆転勝利をたぐり寄せ、1年前のバレンシアでのヨーロッパGPに続いて母国スペインで2連覇を果たした。

 バルセロナでレースは過去22回開催されているが、最前列のドライバーが21勝をあげている。唯一の例外は、'96年に予選3位からレースを制したM・シューマッハーだけだった。逆転が非常に難しいのはオーバーテイクポイントが少なく、先行逃げ切りに持ち込みやすいからだ。

 今回決勝はN・ロズベルグとL・ハミルトンのメルセデス勢が最前列を独占。'50年代往年の“シルバー・アロー”を彷彿とさせた。だが3列目5番手のアロンソはきっぱりと、「やってみせる、ここから勝って新しい伝説をつくる」と宣言。そしてライバルに指名したのは、メルセデスではなく、今季、タイヤの使い方が巧く、ピットストップ回数を抑えてくる4番手のK・ライコネンだった。彼我の戦力を読む力があるアロンソは、現在首位のS・ベッテルの名は挙げなかった。

KERSの利用やピットストップ作戦で見せつけた円熟味。

 スタート後、アロンソはKERSを巧みに利用し、2台抜きを披露する。およそ80馬力を約6秒半使えるこの運動エネルギー回生装置は、わかりやすく言うと“増速システム”だ。スタートは中回転域を用い、ホイールスピンを抑えて加速。1コーナーに向けインサイドを狙うもスペースが無く、即座にKERSを切った。そのまま2コーナー出口でライコネンの脇をすり抜けると、KERS残り分を2コーナー立ち上がりから3コーナーで用いた。アウトサイドからハミルトンと併走、高速コーナーで増速パワーを使う攻撃は完全に意表を突くものだった。

 アロンソのフェラーリは横滑りしながらも彼の絶妙なステアリング操作によってコースからはみ出ず3位へ。めったに見られぬプレーである。その後はピットストップ作戦でベッテルを逆転、ロズベルグを1コーナーできれいにかわして1位奪取。3回ストップ作戦で追ってくる2位ライコネンをスプリント走行の4回作戦で逃げ、断ち切った。

 レース内容が緻密で濃厚なドライバー力がはっきり見えるアロンソの強さ。それが老若男女ファンをひきつける。通算32勝、N・マンセルを抜いて、遂にA・セナ41勝に次ぐ歴代4位にのぼり詰めた。

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