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フェデラー撃破の錦織圭。
全仏の赤土にも手応え。
~日本選手の“鬼門”攻略のヒント~  

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byMannys Photography

posted2013/05/23 06:01

クレー特有の滑るコートにも巧く対応しフェデラーに勝利した錦織。

クレー特有の滑るコートにも巧く対応しフェデラーに勝利した錦織。

 テニスファンの5月のイメージカラーはレンガ色だ。パリ近郊、レッドクレー(赤土)のコートが並ぶローランギャロスで全仏オープンが幕を開けるのだ。

男子はナダルとジョコビッチ、女子はセリーナが軸となる展開か。

 全仏で優勝7回、クレーコートキングの異名を持つラファエル・ナダルがうまく仕上げてきた。左ひざの負傷で昨季後半戦を棒に振り、今年の全豪も欠場、しかし2月に復帰すると、マドリードまで出場した7大会ですべて決勝に進み5大会に優勝と、たちまちエンジン全開だ。

 本命ナダルを追走するのが、ランキング1位のノバク・ジョコビッチ。前哨戦の一つ、モンテカルロでは決勝でナダルを破った。四大大会では全仏だけ優勝がないが、それだけに期するものがあるはずだ。優勝争いは、この二人が軸になるだろう。

 女子はランキング1位のセリーナ・ウィリアムズ中心の展開が予想される。前哨戦のマドリードでも決勝でマリア・シャラポワを6-1、6-4と圧倒した。赤土でのフットワークに難があり、昨年は1回戦で敗れたが、圧倒的なスピードとパワーはマイナス要因を補って余りある。

 昨年優勝のシャラポワ、一昨年の女王、李娜にもチャンスがある。セリーナに比較的相性のいいビクトリア・アザレンカも優勝候補の一人だ。

球足が遅くボールが跳ねるレッドクレーは日本人にとって“鬼門”。

 日本選手にとってレッドクレーはもっとも難しいサーフェスと言われる。球足は遅く、ボールは高く跳ねる。独特のフットワークも要求される。欧州の選手には当たり前でも、日本選手には特殊な環境だ。

 相手の守備網をこじ開けるのは容易ではない。決まるはずのショットが決まらない。球足の速い、すなわち決着の早いコートで育った選手はここで焦りが出る。イージーボールを決め損なうとマイナス感情が頭をもたげる。セリーナでさえ、このコートでは我慢が限界に達し、感情が決壊することがあった。全仏の観客はそんな場面を期待しているふしもある。苦境に陥った選手が感情をあらわにする姿を見ようと身を乗り出してくる。それがクレーの戦いだ。なじんでいない日本選手には、なおさら忍耐力が求められる。

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