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佐藤琢磨、インディ初V。
ピースが揃った80周。
~経験を生かした52戦目での快挙~ 

text by

松本浩明

松本浩明Hiroaki Matsumoto

PROFILE

photograph byHiroaki Matsumoto

posted2013/05/13 06:00

佐藤琢磨、インディ初V。ピースが揃った80周。~経験を生かした52戦目での快挙~<Number Web> photograph by Hiroaki Matsumoto

ウイニングパレードでバンに乗り込み、喜びを爆発させる佐藤琢磨。

「本当うれしい! 信じられない、なんか夢みたい(笑)。勝てる時って、本当にあっさり勝てるものなんですね」。佐藤琢磨はそう笑った。

 4月21日アメリカのロングビーチで行なわれたインディカーシリーズ第3戦で琢磨が優勝。自身のインディカー初優勝にとどまらず、日本人としてアメリカンオープンホイールレース最高峰で初勝利という快挙だ。

昨年のインディ500での勇敢なアタックがファンの心をつかんだ。

 琢磨は'02年にジョーダン・ホンダからF1デビュー。BAR・ホンダでF1参戦した'04年には予選2位(ヨーロッパGP)、決勝3位(アメリカGP)という過去日本人最高位タイを記録、優勝も期待されていた。しかし'05年以降、顕著な活躍も少なくなり、'08年のスーパーアグリ撤退とともにF1のシートを喪失した。

 '10年に新天地アメリカのインディカーシリーズに参戦したが、初年度は本人も“学ぶことが多すぎた”と言うほど苦戦し、最高位が9位と低迷。2年目の'11年からは日本人初のポールポジション(アイオワ)を獲得するなど、ようやく頭角を現し始めた。

“Takuma Sato”の名前を鮮烈に印象づけたのは昨年のインディ500だろう。伝統のレースで琢磨は最終ラップまで首位を争い、1コーナーでトップを行くダリオ・フランキッティのインに飛び込むも、スピン。「愚かだが最も勇敢なチャレンジ」と呼ばれたこのアタックは全米で共感を呼んだ。この後エドモントンでは2位。「いつ勝ってもおかしくない」ドライバーだった。

伝説のレーサーから「アイツが欲しい」と評価されて移籍が実現。

 この琢磨に注目していたのが、伝説のアメリカン・レーサー、AJフォイトだった。フォイトは、インディ500優勝4回、ナスカーやルマンでも優勝経験を持つ。琢磨のライバルチームのオーナーだったが、「アイツが欲しい。アイツをウチのクルマに乗せよう」と熱烈なラブコールを送り、今年琢磨のAJフォイトへの移籍が実現する。

 移籍後、琢磨の速さがより顕著になり、安定したものになる。2月のフロリダで行なわれた初テスト。チップ・ガナッシやペンスキーといった強豪チームも一緒だったが、そこでトップタイムをマーク。3月の全チーム事前合同テストでもトップ10以内に入った。博士号を持つベテランのチーフ・エンジニアとのコンビは、アメリカに来てから最も息の合ったもので、琢磨の不安を拭い上手くパフォーマンスを引き出している。

【次ページ】 完勝した琢磨はロングビーチの青空に日の丸を掲げた。

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