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予想以上のW杯効果と、
バファナバファナの課題。
~祭りの後の南アフリカ~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph byKaoru Watanabe(JMPA)

posted2010/08/05 06:00

子供たちが吹き鳴らすブブゼラの音色は、南アを象徴するものとして世界中に認識された

子供たちが吹き鳴らすブブゼラの音色は、南アを象徴するものとして世界中に認識された

 南アフリカワールドカップが終わってから数日間、まつりの後の現地を歩いて回った。

 大会中は世界各国のサポーターで埋まっていたネルソン・マンデラ広場は閑散としており、スタジアム周辺の交通量もずいぶんと減った。あれだけうるさかったブブゼラの音も、今ではほとんど聞こえない。夢の時間も終わり、南アフリカの人々は日常生活に戻ったわけだ。

 大会の熱は去ったが、ワールドカップがこの地に残したのはピッチ上で繰り広げられた64試合の記憶だけではない。

 ヨハネスブルクの危険地域ヒルブロウには人工芝のピッチで構成される最先端のサッカー施設が建設され、地域の少年たちが気軽にサッカーをできるようになった。サッカーに代表されるスポーツが若年層に定着することで、少年犯罪減少を期待する声も多い。

 “ワールドカップ効果”により、南アフリカの近隣諸国も思わぬ恩恵を受けることになった。

 隣国のモザンビーク、海沿いの小さな町ビランクロで行なわれた国内リーグのビランクロ対マプト戦には、ワールドカップ後に南アフリカから流れてきた外国人観光客が大勢駆け付けた。普段は地元民しかいない極めてローカルなスタジアムだけに、現地の人々は「なぜこれだけの外国人がこの試合に」と驚いていた。

2014年ブラジル大会での課題はピッチ上での結果。

 南アフリカのズマ大統領は「大会は大成功だった。治安も交通も宿泊も問題なかった。巨額の支出もあったが、世界中からの投資もあり十分過ぎるほどペイできた。国の将来にむけて大きな成功だ」と満足そうに大会を総括している。

 しかし、国全体の熱狂的な後押しを受けた南アフリカ代表はピッチ上では結果が出せなかった。南アフリカは開催国として史上初のグループリーグ敗退という不名誉な記録を作っている。

 ワールドカップ開催の影響で、国のサッカーの土壌は大きく改善された。今後はこれを若年層の育成に生かし、できるだけ多くの選手を欧州リーグに送り出し、世界のトップレベルで経験を積ませることが必須となる。

 4年後のブラジル大会、今度はピッチ上でいかに世界を驚かせるのか――。

 成功に終わったワールドカップを経て、南アフリカが取り組むべき課題は多い。

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