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ミランとCL権を争うフィオレンティーナ。
モンテッラ監督の改革は成就するか? 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2013/04/27 08:01

ミランとCL権を争うフィオレンティーナ。モンテッラ監督の改革は成就するか?<Number Web> photograph by Getty Images

「(勝ち点差1の4位でミランを追いかける)今の順位はシーズン終盤戦で非常に好都合。これからの試合はこの上なく重要なので、必ず勝利したい」と語っているモンテッラ。

 フィオレンティーナ監督ビンチェンツォ・モンテッラは、ホームにミランを迎えた31節の後半が始まる直前、主審タリアベントを通路で呼び止めた。1点リードされた苦しい展開だった。

 タリアベントは、前半39分にミランFWエルシャーラウィを倒したDFトモビッチを退場させていた。振り払う肘が当ったにせよ故意ではなく、明らかなゴールの好機ともいえなかった。モンテッラは、老獪に語りかけた。

「あのプレーにレッドカードを出したのはおかしい。(試合後のリプレイ映像で)貴方の判定が間違っていたら、ディナーを1回奢ってもらいますよ」

 言葉巧みに主審の同意を得たモンテッラのチームは、ミランに追加点を入れられた後も、諦めずボールを走らせ続けた。10人のフィオレンティーナは攻め続け、プレッシャーに負けた若いミラン守備陣のミスを誘い出すと、2本のPKを奪って値千金のドローに持ち込んだ。

 試合後、映像でやはり誤審だったことを確認したモンテッラは意気揚々としていた。ディナーの賭けに勝ったことより、誤審という不利を跳ねのけたチームの成長ぶりが頼もしかった。

「追いつけたのは選手たちの意地とプライド、そして戦術的成長の賜物だ。皆が欧州の舞台へ行きたいんだ」

ミランとCL出場権を争うまでに復活したフィオレンティーナ。

 来季のチャンピオンズリーグ出場枠を巡って、セリエAの3位争いが激化している。

 シーズン序盤の不振から復調し、一気に3位まで上り詰めたミランを勝ち点1差で追いかけるフィオレンティーナとの一騎打ちがいよいよ大詰めなのだ。

 フィレンツェの古豪は昨季13位に終わった。'90年代のチームにあった華やかさを取り戻し、クラブを再び欧州カップ戦の高みに引き上げるため、昨年の夏、フロントはリーグ最大規模の積極補強を行った。新たに加わった20人はベテラン、若手を問わず、テクニックに優れた者ばかり。彼らを率いてチーム作りを託されたのが、若手指導者ナンバー1との呼び声高いモンテッラだった。

【次ページ】 ローマ、カターニャで監督として活躍したモンテッラ。

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