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バルサ時代は本当に終わるのか?
ビラノバ改革の副作用がついに露見。 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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posted2013/04/29 08:01

バルサ時代は本当に終わるのか?ビラノバ改革の副作用がついに露見。<Number Web> photograph by Getty Images

来季の監督続投もすでに決まっているビラノバ。バイエルンの次期監督が決まっている前上司のグアルディオラと対戦する頃まで、バルサの強さを維持できるか?

「一時代の終焉なんて言うのは不公平だ。ここ5年で僕らはCLを2度制覇し、3度ベスト4に入り、もうすぐ4度目のリーガ優勝を決める。スーパーカップやら他のタイトルも獲っている。ミュンヘンでの一試合だけでこの5年間を検証したって何の役にも立たないだろ」

 バイエルンと戦ったCL準決勝第1レグで歴史的大敗を喫した2日後、イニエスタは憤った。

 たしかに、いまの時点で「バルサ時代の終わり」を告げるのは時期尚早だ。

 4-0を第2レグで引っ繰り返してCL決勝に進むのは非常に難しいが、リーガでは2位マドリーに大差を付けて優勝は決まりだ。来シーズンには連覇どころか再び2冠や3冠を獲る可能性だってある。

 しかし一方で、バイエルン戦での負け方は、過去5年間、強いバルサを観てきた者には衝撃的だった。手も足も出ないとは、まさにあの日のバルサのことだ。

 試合終了後、ピケは「あまり言うことはない。バイエルンは俺たちより速く、たくましく、より良いサッカーをしている」と口にし、完敗を認めた。スタンドやテレビの前で“事件”の目撃者となった人の感想も概ねそのとおりだろう。

 だから敗因についても、中盤の戦術的攻防やメッシ依存を中心に、いろんなメディアで、いろんな人が早速語っている。

 この稿ではそこにひとつ、忘れられがちだけれど決定的な意味を持つコンディション不良を加えよう。

なかなか復調しない今季のバルサ。その原因はビラノバではないか?

 昨季までのバルサは、1月末には調子を落とすものの、リーガとCLが大詰めを迎える3月半ば以降には回復するよう調整を行ってきた。ところが今季はその3月半ばを過ぎても、コンディションの良さをチーム全体に強く感じることは一度もなかった。

 フィジカルトレーナーは変わっていないので、考えられる理由はビラノバ監督とトレーニングスタッフの計算違い。

 さらにその原因を探るなら、グアルディオラから引き継いだチームにビラノバが施した変化が怪しくなる。

【次ページ】 ビラノバ改革は攻撃においては成功したが……。

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