SCORE CARDBACK NUMBER

メジャー制覇に通じる
石川遼「成長」の証。
~全英で気づいた潜在能力~ 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

PROFILE

photograph byTaku Miyamoto

posted2010/07/30 06:00

メジャー制覇に通じる石川遼「成長」の証。~全英で気づいた潜在能力~<Number Web> photograph by Taku Miyamoto

全英では2アンダーで日本人最高の27位。メジャー初のアンダーパーでフィニッシュした

 メジャートーナメントでは、3日目の土曜日を「ムービング・サタデー」、最終日を「サンデー・バックナイン」とよく表現する。最初の2日間は、自分のポジションを守りながら予選通過を目指す。一気に優勝争いの渦の中に入り込もうと、どの選手も攻撃的に臨む3日目は、スコアが大きく動くからムービング・サタデー。そして最終日のどこで仕掛けていくか――そのタイミングが、残り9ホールをターンする時点というわけだ。

 だが、今年の全英オープンは、初日からビッグスコアが続出した。ローリー・マキロイが9アンダー、63。特に午前中はリンクスでは珍しい「そよ風」で、アンダーパーの選手が73名もいた。

 石川遼も4アンダー、17位タイでのスタート。2日目は1オーバー、通算3アンダーの暫定22位で折り返した。この日、石川が成長したと思ったのは、強風と寒さの中でもショットに大きなミスがなかったことだ。それは、集中力を失わず、リズムを狂わせないでプレーできる能力が、一段と高くなった証である。

「自分でも文句のつけようがないくらい、いいショット」

 ゴルフは、選手の不安、躊躇、焦りや、ちょっとした不運などが、ショットやパッティングの成否に表われる。全英での石川は、そんな精神的動揺を見せず、最後まで丁寧さをもってプレーできていた。

 実際、最終日のインタビューで「自分でも文句のつけようがないくらい、いいショットが打てた。限界が広がった。こういうことができるんだなと、ちょっとビックリしています」と答えていた。

 さらにテレビ解説をしていた青木功が「これで、アプローチで転がしとか、引き出しが増えると、もっとゲームが楽になるし、上位へ行ける」と言うと、石川は「いまの僕には、まだそこまでの技術の蓄えがないので、これから勉強します」と返した。

 ゴルフの上達は、蜃気楼のように、近づいたと思うと、また遠のく。

 ジャンボ尾崎は、かつて「練習するほどに課題が増える。でも、その努力は、決して苦労だと思わない。なぜなら目標をひとつひとつ達成したときに、笑って話せるのだから」と言った。

 試練は、夢を掴むための通り道だ。スポンジのように吸収し続けるポテンシャルを秘めた石川遼は、着実にメジャーで優勝争いできる階段を登っている。

■関連コラム► 去りゆくワトソンが石川遼に託した、ゴルフの聖地・18番ホールの祝福。
► 全英の難コースで問われる“人間力”。~石川遼、「聖地」攻略のカギ~

関連キーワード
石川遼
全英オープン

ページトップ