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躍進するベルギー代表は
各国の「未来を映す鏡」。
~“多国籍化”が進む欧州サッカー~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byTomoki Momozono

posted2013/05/06 08:00

躍進するベルギー代表は各国の「未来を映す鏡」。~“多国籍化”が進む欧州サッカー~<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

W杯出場を決めれば2002年日韓大会以来となる。攻撃の中心を担うのは背番号10のアザール。

 最近、様々なメディアでベルギー代表の報道を目にすることが多い。ベルギー代表選手が多くプレーする英国のメディアだけでなく、ベルギー人選手にあまり馴染みのないイタリアやスペインでも話題になっており、欧州サッカー界のひとつのトピックとなっている。

 その理由は「黄金世代」といわれる現在のベルギー代表の躍進だ。'14年ワールドカップ予選でもクロアチア、セルビアら強豪揃いのグループで首位を走っており、突破が決まる前から本大会の活躍が期待されているほど。チェルシーのアザール、マンチェスター・Cのコンパニ、アトレティコ・マドリーのクルトワら、ビッグクラブの主力も多く、有名選手の活躍が各国メディアの目を引いている。

 興味深いのは「なぜベルギーは強くなったのか」ということに関して、各国で様々な理由が挙げられている点だ。

NYタイムズ紙は「移民2世の時代になって団結した」と分析する。

 例えばイタリアのガゼッタ・デッロ・スポルト紙はベルギー成長の理由として「スポーツ人口の多さ」をあげている。ベルギーは総人口の50%が何らかのスポーツをしている、という統計を提示し、さらにイタリアがわずか29%であることも付け加えている。ベルギーを賞賛しながら、自国のスポーツ人口を悲観するあたりが、いかにも不平がちなイタリア人の見方らしい。

 一方で、米国のニューヨークタイムズ紙は「かつてのベルギーはフラマン語地域とフランス語地域で対立していたが、時が経ち移民2世の時代になり団結したから」としている。

 現在のベルギーはコンゴ系のコンパニをはじめ、モロッコ系のフェライニなど主力の多くが移民の子である。寄せ集めチームではあるが、逆にそれが過去のいざこざを消したという、“人種のるつぼ”アメリカらしい捉え方だ。

 移民が増え続ける欧州では今後、各国代表の「多国籍化」は進むはずだ。イタリア代表はバロテッリとエルシャーラウィがそれを象徴している。スペインも現在のバルセロナの下部組織には家族ごと移住してきた移民の少年が多く、そんな選手たちがやがてスペイン国籍を選び、代表に選ばれる日も遠くないだろう。

 現在のベルギー代表は、各国代表の未来の姿をひと足先に示しているのかもしれない。

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