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英メディアによる評価の理由とは?
“リンクマン”香川真司にかかる期待。 

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鈴木英寿

鈴木英寿Hidetoshi Suzuki

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posted2013/04/26 10:30

英メディアによる評価の理由とは?“リンクマン”香川真司にかかる期待。<Number Web> photograph by Getty Images

アストン・ビラ戦で優勝を決めたマンチェスター・ユナイテッドイレブンと香川。この試合の77分、香川は決定的なチャンスを迎えたが、シュートはゴールバーを超え、自らのゴールで優勝に花を添えることはできなかった。

「今年1年、すべては自分のことで必死だった」

 マンチェスター・ユナイテッド20回目のプレミアリーグ優勝。その興奮の余韻も冷めやらないオールド・トラッフォードのトンネル前で、香川真司はそう告白した。自身、前所属のボルシア・ドルトムント時代から数えて、欧州リーグ優勝は3年連続。だが、プレミア制覇に貢献したという感覚は「正直、ドルトムント時代ほどはない」と語る。

 ユナイテッドは昨季、同じ都市を本拠地とする新興クラブ、マンチェスター・シティにリーグタイトルを奪われた。チャンピオンズリーグでもグループリーグ敗退。その雪辱を果たすべく、ファーガソン監督は「とにかくすべてにおいて向上する」ことを目的として、アーセナルからは昨季得点王のロビン・ファンペルシを獲得。そして、日本円にして約15億円の移籍金で、ドイツ王者から香川を引き抜いたのだ。

 ファンペルシと並ぶ新戦力アタッカーの二枚看板として、注目と期待は大きかった。それだけに本人は、今季の出来に納得がいっていない。

「もっともっと結果を求めていましたし、怪我もしていましたし……やっぱりそう簡単にいかないのかな、ということを感じたり、いろんな葛藤だったり、悔しさだったり、悩みだったり……たくさんありました。そういう意味では、深い1年だったと思います」

『タイムズ』の評価はやや辛口、及第点の「6点」だが……。

 ただ、現地メディアの評価は、ここに来て上昇している。

 筆者は、優勝決定戦となったアストン・ビラ戦では、日本の専門誌にも寄稿する旧知のオリバー・ケイ記者(高級紙『タイムズ』紙スポーツチーフ)と会ったが「香川はこれからもっと期待できるね」と笑顔だった。

『タイムズ』は、優勝の翌日にシーズンここまでの総括記事を掲載。全選手の採点と寸評を紹介している。イギリスの新聞は最高が10点、最低が0点。日本のように「0.5点」刻みではなく「1点」刻みである。ちなみに日本のスポーツメディアにおける「及第点」は10点満点中「6点」とする場合が多い。

 同紙のシーズン最高評価「8点」は5人。FWでは、2年連続の得点王に向けてまい進するファンペルシと、途中出場が多いながらも印象的なゴールの多いエルナンデス。MFでは攻守に安定感を誇ったキャリック。DFでは年齢による衰えに打ち勝った感のあるファーディナンドと、進境著しいラファエウ。そして、正守護神に定着したGKデヘア。香川のシーズン採点は「6」。寸評では「ノリッチ戦(3月2日)での美しきハットトリックにより、才能を見せつけ、定着しつつある。だが、ユナイテッドのサポーターは来季のさらなる奮起に期待している」という評価だ。

 一方、『タイムズ』より採点にバラつきがあり、高評価と厳しい評価がよりくっきりと分かれているのが、同じく高級紙の『テレグラフ』である。

【次ページ】 『テレグラフ』は「頼もしく見えてきた」と評価。

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