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持久力、プレスそして「笑顔」。
女子アイスホッケー、躍進の秘訣。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byNagayama REIJI

posted2013/04/22 10:31

持久力、プレスそして「笑顔」。女子アイスホッケー、躍進の秘訣。<Number Web> photograph by Nagayama REIJI

ノルウェー・スタバンゲルで行なわれた世界選手権で副将を務めた平野由佳。日本は次回2015年世界選手権で1部に復帰する。

 アイスホッケー女子日本代表が世界選手権ディビジョン1のA組で4勝1敗の成績をあげて優勝し、4月15日、帰国した。ディビジョン1というのは、2部に相当するカテゴリーだ。

 主将の大澤ちほは大会を振り返ってこう語った。

「ソチオリンピックへの大きな糧になりました」

 今回の優勝で、6年ぶりに1部への復帰が決まった。先だっての最終予選でのソチ五輪出場権獲得に続く快進撃である。

 大澤をはじめ、帰国した選手たちは笑顔、笑顔だった。その表情に、思い出すことがある。

 世界選手権を前にした合宿中、東京の男子高校選抜チームと練習試合を行なった日のことだ。

 この試合、日本代表は0-2で完敗したが、 それよりも印象的だったのは、チームの眩しいような明るさだった。

 試合後、会場外に出た選手たちは、思い思いにストレッチなどをしながら、大澤をはじめ誰もが観戦に駆けつけた人々に声をかけられると気さくに応じていた。何よりも選手たちの、楽しそうな表情があちこちにあった。

 実はその明るさこそ、躍進をもたらしたラストピースでもある。

日本人の特性を生かした戦い方はいったいどんなものなのか?

 アイスホッケーの女子日本代表は、長年、他の競技と同様、海外の強豪国との体格の違いに苦しんできた。

 平均身長が170cmを超える国が珍しくないのに対し、日本は160cmそこそこである。コンタクトプレーで劣勢に立つのをどう克服するかを模索してきた。

 行き着いたのは、試合を通して相手に負けない持久力を養うこと、敏捷性やスピードだった。

 だから、「陸上部かと思うくらい」と足立友里恵が言うように、徹底した走り込みを続けてきた。

 相手より一歩先に動き、パックを速く動かしていくスピードも追求した。

【次ページ】 世界最先端の戦術を取り入れても……まだ勝てない。

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