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プロ3戦目で日本ランク1位を圧倒!
“怪物”井上尚弥は何が凄いのか? 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byYusuke Nakanishi/AFLO SPORT

posted2013/04/17 11:30

プロ3戦目で日本ランク1位を圧倒!“怪物”井上尚弥は何が凄いのか?<Number Web> photograph by Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT

次のデビュー4戦目で日本タイトルを奪取すれば、辰吉丈一郎と並ぶ最速記録となる井上。日本王者・田口も対戦を熱望しているという。

「アマチュアのころから倒すボクシングを意識していた」

 当たり前のように思えるかもしれないが、パンチを打ち抜くことは案外難しい。

 体の芯がしっかりしていなければ打った勢いでバランスを崩してしまうし、ディフェンスを優先すると、パンチは遠くまで伸びない。早くガードの位置までグローブを戻そうとするので、極端に言えばタッチして引くようなパンチになるからだ。本人が「アマチュアのころから倒すボクシングを意識していた」と言うように、強いパンチを打ち抜き、なお連打をまとめられるところに怪物と呼ばれる所以がある。

 極上の素材としての井上に、もはや疑う余地はない。

 20歳のプロ3戦目としては別格。あとは大きく成長するために、キャリアの積み方が重要になってくる。

もはや足りないのは「経験」と「タイトルマッチ」のみ。

 成長という観点に立つと、佐野戦は非常に実りが多かった。

 大橋会長はこの試合を「結果的に長いラウンドを戦って、かけがえのない経験ができた」と表現した。

 その通りである。

 10ラウンドのファイトが初めてなら、拳を痛めるというアクシデントも初体験。左1本で攻めあぐね、試合が中だるみする事態も未経験だし、顔面を鮮血で染めながら、なおも粘り強く向かってくる相手も初めてだった。経験こそ井上に最も足りない要素である。こればかりは試合を重ねなければ身に付かない。

 佐野に勝利し、井上は日本タイトル挑戦に大きく近づいた。日本王者の田口良一は佐野を上回る強豪であり、さらに言えば「タイトルマッチ」と名のつく試合は、たとえ日本タイトルであっても特別な舞台になる。

 大きな舞台や、高い志と技術を持つ実力者との対戦は、必ずやボクシング人生の肥やしとなる。

 デビュー3戦目を終えた20歳は「本物の怪物」となるための長い旅路についたばかりだ。

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