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競技歴2年でメダル候補に。
ソチ新種目の“新星”。
~スキー・ハーフパイプ、小野塚彩那~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byAFLO

posted2013/04/09 06:00

世界選手権では日本勢初の表彰台に。決勝2回目の後は「勝ったと思った」と悔しがった。

世界選手権では日本勢初の表彰台に。決勝2回目の後は「勝ったと思った」と悔しがった。

 3月上旬、遠征から帰国すると、空港での出迎えの多さに「ふつうに帰ってくると思っていたので、驚きです」と、びっくりした表情を浮かべた。無理もない。世界選手権の前後で、注目度ががらっと変わってしまったのだから。

 ウインタースポーツの2012-'13年シーズンが終了した。ソチ五輪への試金石となる重要なシーズンにおいて、長年、日本代表として牽引してきた選手が各競技で健在であることを示す中、新星として飛び出したのが、スキー・ハーフパイプの小野塚彩那である。

 スキー・ハーフパイプは、ソチで新たに増える12種目のうちのひとつ。スノーボードのハーフパイプと同様、半円筒状のコースを滑り、空中に飛んで技を披露する採点競技だ。3月5日にはこの種目の世界選手権が行なわれたが、小野塚は予選を1位で通過すると、決勝でもミスのない滑りで銅メダルを獲得。

「予選が1位だったので、3位だったのは悔しいですけど、メダルが獲れたのはうれしいです」

 と、喜びを露わにした。

アルペンで磨いた滑走力を高いエアへと生かし、世界選手権3位に。

 小野塚は、もともとはアルペンスキーの選手で、学生日本一になるなどの実績を残していた。'11年春にスキー・ハーフパイプの五輪採用が決まるとともに転向したから、競技歴は長くはない。だが、アルペンで磨いた滑走力から生まれる高いエアを武器に、同年冬には早くも国際大会に出場するようになり、世界選手権で能力を開花させたのである。

 新種目だけに、国内で練習できる場所は少ないし、ナショナルチームとして強化を図っているわけでもない。そのため、知人らが立ち上げた後援会組織による資金面のバックアップなどを受けて、アメリカを練習の拠点とし、遠征を行なってきた。そうした個人的な努力でカバーしてきたが、本場の北米では専門のコーチがついている選手も少なくない。ましてや五輪シーズンになれば、海外勢の強化もさらに充実するはずだ。その違いに危機感を抱いてもおかしくはない。それでも、持ち前の明るさ全開でこう語る。

「オリンピックのメダルの感触はつかめています。成績は安定してきている。あとは勝つことです」

 飛躍を糧に、ただ金メダルだけを目指して、新たなシーズンを見据える。

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