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<HONDA Method> ソルティーロが本田圭佑を超える日 臨時増刊特別編 「ホンダファミリアフットサルコート石巻」 

text by

榎森亮太

榎森亮太Ryota Emori

PROFILE

photograph byShigeki Yamamoto

posted2013/04/03 06:00

東日本大震災から2年。災害支援基金を立ち上げ、
多くの方々から預かったお金が遂にフットサルコートという形になった。
石巻市で行なわれた贈呈式の模様をお伝えする。

「夢を強く持って下さい。それも大きな夢を。夢が君たちを強くします。人の夢を笑わずに応援して下さい。僕は君たちを応援しています。いつか必ず君たちの夢が叶うことを――3月3日に行なわれた「ホンダファミリアフットサルコート石巻」贈呈式で、本田圭佑から託されたメッセージを読み上げながら、僕の頭の中には2年前の、あの光景が浮かんでいました。

女川町を訪れた2011年6月、目の前の惨状に言葉を失った。

Ryota Emori
1985年生まれ。奥寺スポーツアカデミーに在学中、上海申花U-19に留学。卒業後、長野エルザ(現・長野パルセイロ)に加入。ドイツに渡り下部リーグでプレーしていた時に本田圭佑と出会う。その後、専属マネージャーを経て「ソルティーロ」事業責任者に就任。

 東日本大震災から約3カ月後の2011年6月、本田と僕は宮城県の女川町を訪れました。そして、言葉を失った。目の前に広がる惨状は想像を超えていて、何をしたらいいのかわからないくらいの無力感に襲われました。

 と同時に、被災した人たちの前向きな姿勢や力強い気持ちに触れて心が洗われた。

 僕らはすぐに、何ができるかを話し合い、まずは災害支援基金を立ち上げました。なぜ、義援金を募ることにしたのか。実は本田は震災直後に赤十字を通し寄付しています。でも、「このお金を復興支援に役立ててください」というだけでは、自己満足で終わってしまうのではないか。僕らは、本田圭佑というフィルターを通して、寄付してくれた方々の“想い”を明確な形にすることこそが大事だと考えたのです。

本田を通して預かったお金だからこそフットサルコートを。

贈呈式後、元気に遊ぶ石巻の子供たち。

 集まった義援金を“何”に使うかについては頭を悩ませました。本田圭佑というフィルターを通して預かったお金ですから、サッカー人として彼だからこそできる支援をしたい。本田が出した結論は「フットサルコートを寄贈する」というものでした。

 僕も含めスタッフの大半はこの意見に反対しました。放射能の影響を懸念して、土を掘り返すのはいかがなものかとか、寒い冬を越せるようにもっと生活必需品に目を向けた方がいいのではないかなど……。でも本田はやると決めたら、絶対にやり通す男です。というわけで、僕は本田の意思を形にするため、この1年間、候補地の選定や業者との建設費用の交渉に奔走することになったのです。

<次ページへ続く>

【次ページ】 採算や運営を度外視してでも、小学生には無料開放。

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