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スカウティングを変える、
20万人のデータベース。
~世界中のサッカー選手を網羅~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byNao Nakai

posted2013/04/02 06:00

スカウティングを変える、20万人のデータベース。~世界中のサッカー選手を網羅~<Number Web> photograph by Nao Nakai

 近年、『マネーボール』や『人生の特等席』など、スカウトに関する映画がヒットしたこともあり欧州ではスカウティングに対する注目が高まっているが、そんなスカウティング業界に新たな波が押し寄せつつある。

 先日、スペインサッカー協会があるスカウティング会社と契約を結んだ。イタリアのジェノバ近郊に本部を置くWyscout(ワイスカウト)社だ。

 現在、同社のデータベースには世界中でプレーする20万人もの選手が登録されており、契約するクラブや代理人、協会は好きな選手をウェブやiPadで確認することができる。

 あるクラブが20歳以下の、得点力のある若手を狙っているとしよう。これまでならクラブは自クラブのスカウト網か、親しい代理人を使ってたどり着くしかなかった。しかし同システムを使えば「18歳」、「今季10得点」と打ち込むだけで、該当する世界中の選手のデータとプレー動画をその場で確認することができる。

「右足のアシスト数」など、限定された検索も可能だ。同システムでは毎週500試合が分析されるため、常に最新の情報がアップされ続けている。

海外でプレーする選手、情報量の少ない小国の分析にも利用可能。

 スペインサッカー協会が契約した理由も、この情報量とスピードにある。近年、スペインではユース世代の若手の多くが海外でプレーしており、協会が各カテゴリーの代表選手をすべて現場でチェックするのは不可能に近い。それだけでなく、情報量の少ない小国とW杯予選で対戦する際の分析にも利用できる。

 同社のカンポドニコ氏は'04年、下部リーグの地元チームの撮影と分析からビジネスをスタートさせた。当時ジェノアの監督だったセルセ・コズミを待ち伏せして手紙を渡すなど地道な努力で契約を増やし、現在はバルセロナやレアル・マドリー、アーセナル、インテル、ミランなど欧州主要クラブの多くが契約している。

 同システム上には選手売買のセクションもある。カンポドニコ氏は「契約の際には代理人が必要だし、彼らがいなくなることはないが、もう誇張による売り込みはできなくなる」と話す。データは絶対ではないが、もはやそれなしでは成り立たない時代でもある。Wyscout社が提示した新たなビジネスモデルは、着実にサッカー界に浸透しつつある。

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