SCORE CARDBACK NUMBER

みなぎる気迫が武器。
前田健太、飛躍の時。
~佐々岡、黒田を継ぐエースへ~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/07/19 08:00

みなぎる気迫が武器。前田健太、飛躍の時。~佐々岡、黒田を継ぐエースへ~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

今季の目標は「背番号18と同じ数の勝ち星」。入団4年目の今年、初のタイトル獲得なるか

「首位・巨人からの勝ち星は大きい。相手エースと投げ合って勝てる投手こそエースだ」と、広島・大野豊コーチが絶賛したのは前田健太。7月1日、8連敗中だった巨人を相手に、9回1失点で内海哲也との投げ合いを制し、今季10勝目を挙げたのだ。前田自身も「自分のいい球さえ投げれば打たれっこない」と自信を深め、気迫を前面に出した投球で相手チームを圧倒している。入団4年目ながら、野村謙二郎監督をして「佐々岡(真司)や、黒田(博樹)を彷彿させるエース」と言わしめる投手に成長した。

「昨季との違いはどこにあるのか」と聞くと、「リリースの時に120%の腕の振りが出来る力加減を、秋季キャンプで掴んだみたい」という答えが返ってきた。

「オールスターは広島をアピールするにはいいチャンス」

 チーム打率が高くない広島で挙げた二桁勝利は「好投手はパ・リーグばかり」といわれる中、ひときわ存在感を放っている。オールスターのファン投票でも選手間投票でも1位になったのも理解できる。

「自分が子供の頃、新庄(剛志)さんが金のバットを持ったり、ホームスチールを決めたりして面白かった。そういう何かをやってみたい」とオールスター出場が決まった時に話してくれた。投手にとって本当に「面白いこと」とは「連続奪三振」だろう。江夏豊の9打者連続三振、江川卓の8打者連続三振に続く記録を密かに狙っているのかもしれない。

「(オールスターには)マツダの冠がついているし、広島をアピールするにはいいチャンス」とキッパリ言い切っている。

辻内らを擁した大阪桐蔭戦で学んだ「気迫」の大切さ。

 前田が「投げる気迫」を学んだのは、PL学園高1年の時の、夏の甲子園予選大阪大会決勝だった。相手は辻内崇伸や平田良介を擁する大阪桐蔭高。当時PLのエースだった中村圭が延長15回214球を投げ切り、引き分けに。翌日、再試合で登板した前田が勝利を収め、甲子園出場を決めたのだ。その時に先輩から学んだのが「気迫」の大切さ。甲子園が始まるこの時期に原点回帰するという。

 そんな前田を頼もしそうに見守る大野コーチは昨年、沢村賞選考委員の仕事を終えた後、「沢村賞はセ・リーグの賞だったはずなのに、パ・リーグの投手ばかり。これを取れるセ・リーグの投手を必ず育てます」と言って、広島のヘッド兼投手コーチに就任した。その公約を実現する日も、ぐっと近くなってきた。

■関連コラム► 広島・前田健と西武・岸が変わった!? 新しい“悪魔のカーブ”の使い方。
► 完封勝利を演出した思わぬ新球場効果。~マツダスタジアムと投手心理~

関連キーワード
前田健太
広島東洋カープ

ページトップ