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<独占インタビュー> 高梨沙羅 「1mでも先へ飛びたい」~16歳、素朴な天才ジャンパーの胸中~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byShino Seki

posted2013/04/01 06:00

小柄で物静かな少女は、ジャンプ台で誰よりも遠くへ飛ぶ女王へと
姿を変える。女子ジャンプの今季ワールドカップで総合優勝。
ソチオリンピックでの金メダルも期待される16歳は今、何を思うのか。

 どこまで飛んでいくのだろう。

 他の選手と比べてもひときわ小柄な152cmの体が、ぽんと踏み切ると高い曲線を描き、長い滞空時間の末に降りていくさまは、まさに飛んでいるかのようだ。

 次元が違う、とも思える大ジャンプを何度も何度も披露し、そのたびに歓声で沸かせたシーズンを、高校1年生、16歳の高梨沙羅はこう表す。

「あっという間でした」

 少し笑顔を見せると、言葉を続けた。

W杯総合優勝を果たすなど「びっくりするくらいのシーズン」。

「今までのシーズンより短く感じました。ずっと遠征続きだったこともありますし、やっぱり成績がよかったことがあると思います。成績がよくないと、いろいろ考えてしまう時間が長く感じるけれど、自分でもびっくりするくらいのシーズンだったと思います」

 快進撃は、昨年11月から始まった。自身、2度目の優勝を飾ると、今年2月、リュブノ(スロベニア)での個人第14戦目で2大会を残し、早々に総合優勝を決めた。その間の優勝はじつに8度を数え、表彰台に上らなかったのはわずか3度のみという抜群の安定感も印象的だった。

 さらに世界ジュニア選手権では2大会連続の金メダルを獲得。先月行なわれたイタリアの世界選手権でも個人で銀メダル、ミックス団体ではチームに大きなリードをもたらす大ジャンプを2つ並べ、金メダルを手にした。

 その活躍を、ただ今シーズンの飛躍とするだけでは言葉が足りないかもしれない。

 高梨は1996年、北海道上川町に生まれた。長野五輪ジャンプ団体金メダリストの原田雅彦の出身地である。

 冬にはマイナス20度を下回ることもある厳寒の地で、元ジャンパーだった父の指導のもと、小学2年生でジャンプを始めた。

<次ページへ続く>

【次ページ】 大ジャンプを連発する高梨が持ち得ている技術とは?

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