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背番号「88」でも揺るがない、
田中賢介の熱き思い。
~夢のメジャーへ這い上がる~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2013/03/23 08:00

背番号「88」でも揺るがない、田中賢介の熱き思い。~夢のメジャーへ這い上がる~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 憧れのユニホームに初めて袖を通した瞬間、ジャイアンツ田中賢介は自らの置かれた立場を再認識した。2月16日のキャンプ初日。クラブハウス内のロッカーに吊るされていたのは、背番号「88」のユニホームだった。

「ちょっと重いですね」

 日本ハム時代は、主力を意味する「3」。通常、コーチ陣やスタッフが背負うような「88」に苦笑するしかなかったが、すべては覚悟の上だった。

 昨年オフ、海外FA権を行使してメジャー挑戦を表明した時点で、腹は括っていた。日本に残れば、2億5000万円の年俸と二塁の定位置は約束されていた。それでも「メジャーでプレーしたい」との思いが揺らぐことはなかった。今年1月、複数球団の中からジャイアンツとマイナー契約を結んだ。年俸は最低保証の4万ドル(約360万円)、メジャー40人枠に入っても75万ドル(約6800万円)の条件も受け入れた。夢を実現させるうえで、金額は二の次だった。

持ち味の巧打と小技を披露し、指揮官も「洗練された選手」と評価。

 だからこそ、招待選手として参加している春季キャンプでは、貪欲で謙虚な姿勢を崩していない。オープン戦では本職の二塁だけでなく、遊撃、三塁にもトライするなど、出場するチャンスを増やすためのアピールを続けている。

「何でもやらなきゃいけないと思っています。いろいろなところで使ってもらえるのはうれしいですよ」

 持ち前のシャープな打撃も、次第に調子を上げてきた。当初はタイミングの取り方に戸惑いもあったが、オープン戦5試合目、11打席目に初安打を放つと、その後5試合連続安打。インディアンス松坂、レンジャーズのダルビッシュから安打を放ったほか、バント安打を決めるなど、巧打と小技を披露している。「スモール・ベースボール」を好むボウチー監督も「洗練された選手。いろいろな役割がこなせる」と、玄人らしく評価する。

 もちろん、他にもライバルがひしめいており、メジャー入りへの道のりは簡単ではない。残念ながら開幕からのメジャー昇格はならなかった田中だが、マイナーから這い上がる覚悟を決めている。

「日本で経験できないことばかり。いい勉強になると思います」

 年俸が激減し、背番号が重くなっても、田中の熱い思いは変わっていない。

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田中賢介
サンフランシスコ・ジャイアンツ

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