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苦労人・山田大樹は
育成の「星」になれるか。
~ソフトバンクに現れた救世主?~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/07/13 06:00

苦労人・山田大樹は育成の「星」になれるか。~ソフトバンクに現れた救世主?~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 交流戦後、連敗を続けていたソフトバンクに、嬉しい救世主が現れた。育成枠出身、4年目の山田大樹である。2007年に育成枠で入団するも、育成契約期限の3年間に支配下選手登録されず、昨年、自由契約に。しかし同オフ、「速い球を投げる左腕はいくらでもいていい」という球団会長・王貞治のひと言で、一度クビになったソフトバンクの秋季キャンプにテスト生として参加。11月に再契約にこぎつけた苦労人だ。

 同期入団の選手たちが高価な家電製品を買い揃える中、1人だけ我慢。掃除機も買わず、実家からホウキを送ってもらっていた。「支配下登録されたら買いたい」と話していたが、開幕前に見事、支配下選手に。背番号は、同じ左腕の400勝投手、金田正一のようになってほしい、という意味で34となった。

 その山田に初めて白羽の矢が立ったのは、6月10日の横浜戦。ホールトンの故障、大隣憲司の不調で先発投手が足りなくなったこともあって、初先発した山田だったが、初回から緊張しまくって、4四死球の押し出しで先制を許すと、2点タイムリー二塁打を打たれるという最悪の立ち上がりを見せる。だがその後は開き直りのピッチングで立ち直り、6回を3失点に抑えた。

秋山監督の期待に応え、3度目の登板にして初勝利。

 勝ち星こそつかなかったものの、秋山幸二監督は、「いける」と判断。その8日後の西武戦に今季2度目の先発として起用した。だが、5回を待たずにKOされ、相手投手の涌井秀章からは「育成出身が相手では力も入らなかった」とまで言われてしまった。

「もう一度だけチャンスを」という秋山監督の期待に応えたのは、6月24日の日ハム戦。8回3分の1を1失点の力投で、3度目の登板にして初勝利を挙げたのである。パ・リーグの育成枠出身者としては初の勝利投手となり、チームの連敗も6で止めた。

 山口鉄也ら育成枠出身選手が続々と一軍で活躍する巨人勢を羨ましそうに見つめていた王会長も、「育成の希望の星になってくれるといいネ」と目を細め、本人も「金田さんの400勝に少しでも近づきたい」と語っていた。

 チームの連敗を救った苦労人はもう「育成上がりで力が入らない」とは言わせたくない。その思いを胸に、マウンドに立つ。

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