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大富豪とラッパーが描く、
ネッツ躍進の青写真。
~NBA今夏のFA戦線レポート~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2010/07/08 06:00

大富豪とラッパーが描く、ネッツ躍進の青写真。~NBA今夏のFA戦線レポート~<Number Web> photograph by Getty Images

ロシア第1位の富豪と米ラップ界のカリスマの強力タッグで、弱小ネッツは浮上できるか

 7月1日、NBAのフリーエージェント交渉解禁にあわせて、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)に面した建物外壁に、「グレートネスの青写真」というスローガンの入った大きな看板が現れた。看板を出したのはMSGを本拠地とするニューヨーク・ニックス……ではなく、隣州のライバルチーム、ニュージャージー・ネッツ。スローガンの下にはネッツの新オーナーでロシア人大富豪のミカエル・プロコロフと、共同オーナーでラッパー&音楽プロデューサーのジェイ・Zが描かれている。

 この看板、タイミングや場所からわかるように、ネッツからニックスへの宣戦布告だ。何しろプロコロフはオーナー就任直後にも「ニックスファンをネッツファンに変えてみせる」と宣言しているのだ。2年後のニューヨーク州ブルックリンへの移転を見越しての戦略だ。

元々はニックス買収を目論んでいたプロコロフ。

 “ライバルチーム”と書いたが、実際のところネッツは成績面では勝率1割5分を切る散々なシーズンを送ったばかり。マーケティング面でも常に大都市チーム・ニックスの陰に隠れ、存在感が薄い。

 プロコロフは、今夏のフリーエージェント戦線をきっかけにそれを変えようとしている。元々、彼はネッツではなくニックスを買おうとしたのだが、ニックス単体ではなく、NHLレンジャーズやMSGもあわせて買わなくてはいけないと知って手を引いたといういきさつがあった。買えないのなら負かしてしまえ、と思ったかどうかは定かではないが、近くにニックスというはっきりした標的を作ることで、チームイメージを変える足がかりにしようとしているのは確かだ。

この夏最高のシナリオはレブロン・ジェイムスの獲得。

 ネッツにとって、この夏最高のシナリオはレブロン・ジェイムスを獲得すること。7月1日の初回交渉にはジェイムスと親しいジェイ・Zも同席。かつてダラス・マーベリックスをファイナルに導いたエイブリー・ジョンソンをヘッドコーチに迎え、サラリー枠も大きくあけた。

 プロコロフが実際に目指しているものは、ニックスよりさらに先にある。

「ネッツを真のグローバルブランドにしたい。そして、王朝を築き上げたい」

 野心家らしい大きな夢だ。実現させてしまいそうな説得力もある。あとは、それをジェイムスにも信じさせることができれば、夢に大きく近づくのだが――。

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