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7位入賞の可夢偉が見せた、
守りと攻めのドライビング。 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

PROFILE

photograph byHiroshi Kaneko

posted2010/07/07 06:00

第7戦トルコGPに続き今シーズン2度目の入賞。現在、合計7ポイントを獲得している

第7戦トルコGPに続き今シーズン2度目の入賞。現在、合計7ポイントを獲得している

 9戦ヨーロッパGPで7位入賞を果たした小林可夢偉のレースは、徹底した守りと思い切った攻撃の両面が際立っていた。現在のザウバーマシンで予選18位からここまで這い上がるのは非常に困難なことであり、彼のレースセンスと勝負運の強さを世界にアピールしたと言える。スペインのバレンシアではW杯報道とともに、母国の英雄アロンソを抜いた日本人カムイが注目を集めた。

 前戦カナダGP、ゼロ周クラッシュでのリタイアを彼は猛省した。レース人生でこれほど落ち込んだことがないほどだったという。「やってはいけないことをやってしまった」と、バレンシア入りした小林の表情は硬かった。それまで10位が最高位で、マシントラブルによるリタイアが3戦。信頼性が著しく劣るザウバーで苦しい前半戦が続いていた。

ザウバーが地道に取り組む“現有戦力”の見直し。

 他チームが続々とアップデートパーツを開発するなか、彼らは現有する戦力の見直しを心がけてレースに臨んできた。見た目に大きな変化はないが、信頼性の確保を優先し、レースでロングランペースを平均的に高めるための努力を重ねた。

 具体的には、満タンでのスタートから軽くなっていく重量変動に対し、カーバランスが影響を受けにくいセッティングを検討したという。これがヨーロッパGP決勝でセーフティカーが出動し、1位S・ベッテル、2位L・ハミルトン、3位小林、4位J・バトンとなった後、上位マシンに混ざってペースをキープできた理由のひとつだ。

バトン、アロンソを抜いたルーキーは小林可夢偉だけ。

 もうひとつは、そのマシンセットアップを理解し、スタートで履いたハードタイヤを消耗させず最長53周をカバーした小林のドライビングである。加速でのホイールスピン、減速でのブレーキロックといったミスをひとつも犯さず、丁寧なコーナリングを彼は続けた。そして、残り4周でソフトタイヤにチェンジして攻撃に転じ、アロンソ、ブエミを次々にパスしてみせたのである。

 抜きにくいとされるバレンシアのラスト2周で2台を逆転したのは、彼の勝負強さによるものだ。まだ11戦目の新人カムイの入賞レースは、昨年のアブダビGPといい、大物相手に怯むことなく攻めて得たものばかり。これまでにバトン、アロンソ、2人のチャンピオンを抜いたルーキーは小林だけである。

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