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初の外国人監督誕生で
男子バレーは変革なるか。
~低迷脱却へ、サトウ氏を起用~ 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

PROFILE

photograph byKYODO

posted2013/03/16 08:00

記者会見でポーズをとるサトウ氏。早速日本語の勉強を始めたという。

記者会見でポーズをとるサトウ氏。早速日本語の勉強を始めたという。

 ようやく、重たい扉が開いた。

 日本バレーボール協会は2月18日、選考が遅れていた男子バレーの代表監督に、アメリカ国籍のゲーリー・サトウ氏を選任した。日本バレー界初の外国人代表監督の誕生だ。

 男子バレーは、1972年のミュンヘン五輪で金メダルを獲得した。しかしその後、体格に勝る欧米諸国の台頭により上位を明け渡し、五輪に出場することさえ難しくなった。'08年の北京五輪で4大会ぶりの出場を果たしたが、昨年のロンドン五輪は再び出場権を逃した。世界との差は年々開き、現在世界ランキングは19位。アジアの中でもオーストラリア、イラン、中国に次ぐ4番手にある。そんな中、強い日本バレーの構築が、サトウ氏に託された。

 世界に追いつけ追い越せと、外国人監督をいち早く招聘したサッカーと違い、過去の栄光を知るバレーは、長く低迷しながらも外国人起用に踏み切れなかった。今回の選考過程でも、「せっかくこれまで日本人の監督でやってこられたんだから、これからもやれるんじゃないか」という意見があったという。しかしここに来てようやく、変化を求める声が保守派を押し切った。日本協会の中野泰三郎会長はこう語る。

「バレーボールは日本の男子のボールゲームで唯一、五輪の金メダルを持っている。ただ、その後40年間メダルから遠ざかっている。一度は栄光を忘れて、ゼロから、新たな視点でものごとを考えていかないと先はない。日本の過去を抜きに、客観的に外から見ていた方に、ドラスティックなことをやってもらいたい」

サトウ氏はソウル五輪で米国に金メダルをもたらした名コーチ。

 遅ればせながら変革の時は来た。

 曽祖父が仙台出身という日系4世のサトウ氏は、アメリカ男子代表で長年コーチを務めた。'88年ソウル五輪金、'92年バルセロナ五輪銅メダル獲得に貢献し、昨年のロンドン五輪でも5位に入るなど、世界トップ争いの中に身を置いてきた。

 日本バレーはかつて、組織力や緻密さ、技術力の高さが評価されたが、現在世界のトップレベルにある国は、高さとパワーだけでなくそうした面でも日本を上回っている。アメリカもその国の一つだ。世界的に主流となったブロックシステムを生み出した国であり、データ分析にも優れる。

<次ページへ続く>

【次ページ】 日本の弱点である「ブロックのすべてを作り替えたい」。

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