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イチローと傷だらけのヤンキース。
~今季の役割は「将棋の銀」~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byGetty Images

posted2013/03/11 10:30

イチローと傷だらけのヤンキース。~今季の役割は「将棋の銀」~<Number Web> photograph by Getty Images

オフも厳しいトレーニングを積み、万全の体調で移籍2年目の春を過ごすイチロー。

 ヤンキースが危ない。

 2013年の春季トレーニングに眼を向けている人なら、だれもがそう思うのではないだろうか。

 なにしろ怪我人が多すぎる。

 デレク・ジーターが足首。

 アレックス・ロドリゲスが大腿部。

 C・C・サバシアが肘。

 フィル・ヒューズが背中。

 カーティス・グランダーソンが前腕部。

 さらにはマーク・テシェイラが右手首。

 それだけではない。FAの権利を得たヴェテランも、この冬ごっそりと抜けてしまった。ニック・スウィッシャー(→インディアンス)、ラッセル・マーティン(→パイレーツ)、ラウル・イバニェス(→マリナーズ)、エリック・チャベス(→ダイヤモンドバックス)。全員が勝負強い得点源だった。

故障者と転出組による戦力低下は新顔選手では補えない。

 というわけで、無傷の主力打者といえば、ロビンソン・カノーとイチローぐらいだ。そこに、去年1年をほとんど棒に振ったブレット・ガードナーが戦線復帰し、ヴェテランの域に差しかかったケヴィン・ユーキリスとトラヴィス・ハフナーが新加入する。はっきりいって、鮮度はあまり高くない。

 これで勝てるのだろうか。

 補強に成功したブルージェイズや、投手陣が充実しているレイズに伍して、ペナント争いを展開することができるのだろうか。

 見た目の戦力低下は、もちろん大きい。

 たとえばグランダーソンは、'11年と'12年の2年間で合計84本のホームランを放っている。これは、両リーグ合わせて最多の数字だ。2位のライアン・ブラウンとミゲル・カブレラがともに74本だから、細身の身体に似合わぬそのパンチ力には、舌を巻かざるを得ない。

 FAでチームを去った選手たちの穴も大きい。先に挙げた4人を合わせた数字は、80本塁打、245打点。ホームランでしか勝てない、と揶揄された'12年のヤンキースがALCSに進出することができたのは、彼らの破壊力があったからだった。

【次ページ】 つなぐ野球への方向転換でイチローの万能ぶりが際立つ。

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