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データから見る侍ジャパンの修正点。
キーワードは“三塁”と“盗塁”! 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNaoya Sanuki

posted2013/03/05 10:40

データから見る侍ジャパンの修正点。キーワードは“三塁”と“盗塁”!<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

ブラジル、中国の2連戦を終えた時点で、ほぼ内川聖一と並ぶ打撃成績を記録している松田。重要な三塁守備面でも活躍が期待される。

心許なかった……ブラジル戦での松田の三塁守備。

 だがブラジル戦では、怖いと思わされたのは松田の三塁守備だった。

 2対2で迎えた5回裏、1死走者なしで1番オルランドが三塁へのセーフティバントを成功させて3番の勝ち越しタイムリー二塁打を呼んでいるのだが、バントのとき松田の守備位置は明らかに深すぎた。

 ここで打球方向を検証してみよう。日本チームは過去2回のWBCで17試合を戦い、12勝5敗という成績で連続優勝を飾っている。過去17試合を戦った各チーム打者の「凡退(エラー含む)」と「安打」のときの打球方向は次の通りだ。

●第1回大会('06年)
<凡打>
投手6、捕手1、一塁手15、二塁手20、三塁手23、遊撃手29、左翼手12、中堅手16、右翼手15
<安打>
二塁手3、三塁手1、遊撃手2、左翼手14、中堅手21、右翼手11

●第2回大会('09年)
<凡打>
投手14、捕手1、一塁手17、二塁手18、三塁手23、遊撃手38、左翼手15、中堅手6、右翼手12
<安打>
二塁手2、三塁手1、遊撃手2、左翼手13、中堅手17、右翼手15

 刺殺、補殺は詳しいスコアがないと調べられないので、守備機会(刺殺+補殺+失策)という形では紹介できない。ここは単純に、スポーツ紙などに掲載されたスコアテーブルをもとに打球方向だけを紹介する。

多くの右打者が三塁線に多く打球を飛ばすので、対策を練るべし!

 凡退を見ると遊撃手への打球が多く、次いで三塁手、二塁手と続いていく。この3ポジションへの打球、昨年のプロ野球ではどうだったのだろう。

 守備機会を見ると二塁手9885、遊撃手8160、三塁手4361の順で高い。二塁と遊撃、遊撃と三塁の差はかなり大きく、二塁手と三塁手は倍以上の差が開いている。

 しかしWBCでは過去2大会、日本チームと対戦したチームは遊撃手、三塁手、二塁手の順で多い。国際大会では小さく手元で動くボールが主流なので、右打者が引っ掛けてレフト方向(三塁、遊撃)へゴロを打つことが多い。付け加えるとスターティングメンバーに左打者が5人も6人も連なるのは日本チームだけで、'06年ならキューバ1人、アメリカ3人、韓国4人程度がノーマルな左打者の数だった。

 つまり多数派を形成する右打者が手元で動くボールを引っ掛けて三塁方向へボテボテのゴロを量産するという予想があれば、松田はあれほど深い守備位置を取ることはなかった。そういう意味で松田の守備は怖いと書いた。

【次ページ】 侍ジャパンの“金縛り状態”を示す、面白いデータ。

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